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素素『流光砕影』大連出版社 2008年1月
 
本書は歴史的建造物を中心に、著者自身の見聞や体験を交えつつ、大連の波乱の近代史を語ったものである。
著者の素素女史は大連生まれの大連育ちで、大連の歴史的建造物のドキュメント映像『凝固的記憶』の製作にも参加している。
 
表紙は日本時代の常盤橋(現 青泥洼橋)裏表紙は浪速町(現 天津街)。
 
以前にも書いたが、現在日本や中国では大連や「満洲国」に関する作品が数限りなく出版されているが、そのほとんどは外来者たる日本人の思い出話か、中国中央政府のワンパターンな公式見解を引き写したものでしかなく、地元人- 東北人 dongbeiyin  -の視点で書かれたものは意外と少ない。
 
だが、本書はそれらとは全く異なり、地元大連人ならではの視点と情報がふんだんに盛り込まれている。例えばある建築物について取り上げる際には、ただ「これは日本時代の○○で~」といったような略歴を語るだけでなく、実際に人が生活していた様子や大連の庶民たちの悲喜こもごもな生き様、そして作者自身のその建物にまつわる思い出話も交えて、いきいきと描写している。
 
そして、この手の書物にありがちな高遠なイデオロギー臭がなく、地に足がついた文章なのも好感度大。
 
面白かったのは駅前の大連商場の戦前の写真。私もたまに買い物に行くが、まさかそんな昔からあったとは・・・・・・。
そういえば去年の暮れに七十一周年記念セールやってましたけど。
 
 
大連の歴史に興味のある方は買って損はないと思う。