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星新一のショートショートに「マイ国家」というものがある。

マイ国家 (新潮文庫)

http://www.amazon.co.jp/%E3%83%9E%E3%82%A4%E5%9B%BD%E5%AE%B6-%E6%96%B0%E6%BD%AE%E6%96%87%E5%BA%AB-%E6%98%9F-%E6%96%B0%E4%B8%80/dp/4101098085/ref=cm_cr_pr_product_top

とある住宅街、とある狂人がマイホームを「マイ国家」として勝手に独立宣言し、偶然訪問した銀行外勤係のセールスマンを領土侵犯、スパイ容疑として捕まえて、取り調べる。セールスマンは何とかして脱出を試みるが、彼も次第に狂気に捉われていく……

 

という話なんだが、まさか本当にやるやつがいるとは・・・・・・

 

なんと、中華料理屋が独立!

 

店老板为逃检查自称成立国家 不属中国管(人民网 2008年11月18日)

http://pic.people.com.cn/GB/1098/8362483.html

日本語でのあらましは、レコードチャイナなどで紹介されています。

中国から独立宣言!領土はレストラン1軒だけ―浙江省麗水市

http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=25995

 

華流 チャイナ日和 (又名:華流的一天)

中国に独立国家!? 新国家の名前は中太衆人勧帰国!?

http://china8.blog82.fc2.com/blog-entry-778.html

こっちのほうがやや詳しい。

 

以下レコードチャイナから少し引用

2008年11月17日、浙江省麗水市に独立国が出現したというニュースがインターネット上に流れ、大きな注目を集めた。この新国家・中太衆人勧帰国の領土はわずかレストラン1軒だという。19日、紅網が伝えた。

問題の独立国は麗水駅近くにある小さな中華料理店。店主の湯(タン)さんは現地テレビ局の取材に対し、同店はすでに独立し、中華人民共和国の管轄下にはないと高らかに宣言した。店の壁にはでかでかと中太衆人勧帰国の国章まで飾ってある。

レストランが独立するというこの前代未聞の事件だが、その動機はいたって単純。開業したものの、実は衛生許可証、営業許可証を取得しておらず、違法経営状態にあったという。衛生条件が基準に満たないため許可証を取得できないことを知った湯さんは怒り狂い、ついに独立を宣言、取り締まりから逃れようとしたのだという。

 

星新一の「マイ国家」と同じく、国家というものに対する巧まざる皮肉になっているところが面白い。

つまり、庶民にとって国家とは、結局のところあれこれ規制を行ったり、税金をごっそり持ち去っていく存在でしかないということだ。少なくともわれわれが普段の生活で意識させられる「国家」とはそうしたものでしかない。

しかし、国家というシステムがなければ、社会はたちまち無秩序に陥ってしまう。なくてすむならないほうがいいが、ないと困る。結局一種の必要悪として認められているにすぎないのだろう。今のところ人類は国家を超えるシステムを作り出すには至っていないのだから。

「マイ国家」の主人公の狂人やこの中華料理屋の店主はその「必要悪」が必要でなくなったと考え、国家の支配から逃れようとしたわけだ。

「政府とは、ていさいのいい一種の義賊なんだな。しかも、おっそろしく能率の悪い義賊さ。大がかりに国民から金を巻きあげる。その親分がまずごっそりと取り、残りを、かわいそうな連中に分けてやれと子分に命じて渡す。上から下へ子分どもの手をへるうちに、みるみる少なくなる。末端まで来る時には、すずめの涙ほどになる。それを恩に着せながら、貧民や病人や気の毒な人にめぐんでやるというしかけだ」(星新一「マイ国家」より)

だが、国家は大多数の人間にとって「必要」な「悪」であるがゆえに、国家秩序に反するものを許そうとはしない。程度や方法の違いこそあれ、それが「万国共通」の理屈なのだろう。

「マイ国家」の主人公は最後まで「独立」を維持し、セールスマンを狂気の世界へと導くが、現実の国家ではそうはいかなかった。

 

 

よくまとまっていないが、感想を書いてみた。