読書記録(2015年4月)

今月も「読書メーター」のまとめ機能により生成した読書記録を掲載します。
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2015年4月の読書メーター
読んだ本の数:13冊
読んだページ数:2856ページ
ナイス数:31ナイス

江戸幕府と儒学者 - 林羅山・鵞峰・鳳岡三代の闘い (中公新書)江戸幕府と儒学者 – 林羅山・鵞峰・鳳岡三代の闘い (中公新書)感想
林家三代の江戸幕府体制内での涙ぐましい努力、朱子学の体制教学化において果たした役割、方広寺鐘銘事件、外交文書起草、歴史編纂、赤穂浪士事件への対応、政争などでの行動を描いている。自分の感想としては、林家三代、特に初代羅山を「御用学者」、「曲学阿世」と評価するのは大筋では間違っていないと感じた。だが、林家三代がそうまでして成し遂げようとした志の内容、そして林家三代の家学である朱子学が必要とされた背景、さらに後世への影響については、もう少し地道かつ冷静に研究されても良いと思った。
読了日:4月2日 著者:
揖斐高

インターネットは永遠にリアル社会を超えられない (携書137)インターネットは永遠にリアル社会を超えられない (携書137)感想
「インターネット万能論」。ゼロ年代から2010年代初め頃の自分もそれを信じていたなと懐かしく思い出した。自分はどちらかと言えばリベラルな部類に入るので、保守層のネットへの捉え方を知りたくて一読。面白い話題が多く、読みやすかった。結論としては、たかがネット、されどネット。過大評価も過小評価も禁物ということかな。ただ、著者が極端なネット保守(いわゆるネット右翼)を批判し、距離を置いている点自体は良いが、著者自身がこれまでにそうした層と親和的な言動を行ってきただけに、読後に一抹の違和感も残った。
読了日:4月5日 著者:
古谷経衡

プロ書評家が教える 伝わる文章を書く技術プロ書評家が教える 伝わる文章を書く技術感想
読み手の視点に立って、わかりやすい文章を書く。あたりまえのことだけど、これがなかなか難しい。本書は、わかりやすい文章を書くコツをコンパクトにまとめてあり、参考になる。自分も少しずつ実践していきたい。
読了日:4月8日 著者:
印南敦史

センゴク天正記(8) (ヤングマガジンKC)センゴク天正記(8) (ヤングマガジンKC)感想
手取川の戦い。プーチン謙信の軍神ぶりが堪能できる。それにしても畠山一族と長一族が気の毒すぎる。
読了日:4月10日 著者:
宮下英樹

センゴク天正記(9) (ヤンマガKCスペシャル)センゴク天正記(9) (ヤンマガKCスペシャル)感想
なんとか撤退成功。プーチン謙信逝く。不思議な魅力があって面白いキャラだった。あと、その後の能登についてちらっと触れているが、長連龍の復讐の鬼っぷりは詳細には描かなくて正解。あの信長がドン引きするレベルなので。そして舞台は播磨へ。官兵衛出てきましたね。あと、自分の母方は小早川氏の地盤の出身なので、毛利には思い入れが深い。吉川さんカッコいい!
読了日:4月10日 著者:
宮下英樹

グラゼニ(17)<完> (モーニング KC)グラゼニ(17)<完> (モーニング KC)感想
急転直下!ダーティさんは確かに「ダーティ」だわなあ。でも、これがビシネスなのかも。最後の終わり方はきれい。恨みごとを言わず、自らの意志で次の一歩を踏み出す主人公。男だ!
読了日:4月10日 著者:
アダチケイジ

センゴク天正記(10) (ヤンマガKCスペシャル)センゴク天正記(10) (ヤンマガKCスペシャル)感想
荒木村重謀反。なんだか目がすわってた。官兵衛は幽閉。九鬼水軍活躍。そして竹中半兵衛倒れる。急展開。
読了日:4月10日 著者:
宮下英樹

ゴルゴ13 176 (SPコミックス)ゴルゴ13 176 (SPコミックス)感想
「アジ・ダハーカの羽」が面白かった。登場するインドの財閥はタタ財閥がモデルか?
読了日:4月11日 著者:
さいとう・たかを

長篠合戦と武田勝頼 (敗者の日本史)長篠合戦と武田勝頼 (敗者の日本史)感想
これまで論じつくされてきた感のあった武田勝頼と長篠合戦だが、著者は史料を虚心坦懐に読み込むことでまだまだ新しい発見ができることを紹介している。個人的に興味深いのは、長篠合戦の論点の一つである「騎馬隊」につき、当時の史料に基づき実在したとし、その戦術についても論じているところ。その他の論点についての主張も面白く読めた。結局、戦いとは数なのかと納得。そして、わからないことはわからない、推測による個所は推測であるとしっかり明記してある点に、著者の研究者としての堅実さを感じた。
読了日:4月11日 著者:
平山優

ノマドワーカーという生き方ノマドワーカーという生き方感想
戦略と計画の重要性を繰り返し力説。自分はこれまでただ目の前の用事や仕事をこなすだけで、戦略的視点に欠けていたので参考になった。朝型生活のススメ、スケジュール管理の手法も面白い。取り入れられる点は今日からさっそく取り入れてみたい。そして、著者がブログを書く時の心構えとして打ち出している「何か重要なことを始める時には、『何をやめるか』とセットで決める」というフレーズが心に深く刺さった。
読了日:4月12日 著者:
立花岳志

境界の民  難民、遺民、抵抗者。 国と国の境界線に立つ人々境界の民 難民、遺民、抵抗者。 国と国の境界線に立つ人々感想
「見たいものしか見ない(見えない)」人たち。本書はそうした人たちを徹底的に批判する。特に、日本で暮らすベトナム人たち、ウイグル問題、台湾学生運動に関する内容が白眉!「かわいそう」な人たちや「親日的」な人たちをダシにし、手前勝手な偏見と論理で対象を引っかき回す「支援者」たちの姿には呆れるばかり。本書全体に言えることだが、著者の中では、対象に寄り添う自分と、その自分を客観的に見つめるもう一人の自分とがしっかり確立できている。それが著者を偏見から自由にし、本書の内容をより透徹したものとしている。
読了日:4月12日 著者:
安田峰俊

李鴻章――東アジアの近代 (岩波新書)李鴻章――東アジアの近代 (岩波新書)感想
コンパクトで読みやすかった。日清修好条規の清朝側の狙いが「属国」(朝鮮)への侵攻の予防だったとする見解、「所属邦土」という文言の解釈をめぐる日清間の食い違いは興味深い。そして李鴻章がいくら改革を行おうとしても、結局は「清議」と呼ばれる現実離れした「正論」に足を引っ張られてしまうあたり、改革が中途半端に終わったのも仕方がないなと思えた。この点は現在の日本も他山の石とすべきだと感じた。それから本書で取り上げられている「海防」と「塞防」の政策論争とその後の展開だが、「一帯一路」はその現代版なのかなとも想像。
読了日:4月14日 著者:
岡本隆司

宮本武蔵 (人物叢書)宮本武蔵 (人物叢書)感想
宮本武蔵に関する信頼できる史料がいかに少ないかがよくわかる本。有名な吉岡一門との勝負、巌流島の決闘でさえ、確実に言えるのは「武蔵が勝った」ことだけらしい。また、武蔵の『五輪書』、水墨画、書を分析し、これまでのイメージとは異なる、武蔵の朱子学的教養を指摘しているのは面白かった。
読了日:4月19日 著者:
大倉隆二


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