陳惠運『なぜ中国人は互いに憎み合うのか』

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陳惠運『なぜ中国人は互いに憎み合うのか』飛鳥新社 2007年8月

 

 

帰国後、ジュンク堂で中国関係の本を探しているとき本書の帯には「実は、中国人が一番嫌っているのは日本人ではありません」という文字があり、思わず手にとって立ち読み。 著者は上海出身の中国人らしい。


序文を読んでみると、中国人が一番嫌っているのは日本人でもアメリカ人でもなく、実は中国人自身であるという。


著者いわく

中華思想が根底にある中華民族は、自分が世界の中心、頂点にあり、他民族も国家も、自分に従属し、自分の部下であるとしか考えていない。しかも、この思想は中国人の自慢で、一人一人の中国人に遺伝しており、彼らはその思想をさらに発展させて、自分が中華民族の代理として世界の中心にいると考えてしまう。そのため、自分の同胞でも相手にせず、見下し嫌悪する(本書p84)


都市の人間は「田舎者」(郷下人)をさげすみ、田舎者は都市を憎み、金持ちは貧乏人を見下し、貧乏人は金持ちに復讐する。漢族は少数民族への優遇政策に不満を持ち、少数民族は漢族を嫌う。党や政府の幹部は自分を特別扱いし、庶民を見下す。庶民は党や政府を半ば見放している。農民や食品会社は自分が食べるわけではないからということで、農薬まみれの野菜や劣悪な品質の食品を出荷する。役人は国民の公僕ではなく、いまや賄賂まみれの「金持ちの公僕」。


「憤青」(日本のネットウヨみたいなもん)のネット上での書き込みも、数の上では「反日」よりも中国自身への批判や罵声の方がはるかに多い(実際その通り)。

 

そして、互いにだましあい、ののしりあい、さげすみあう。幹部や金持ちは自分だけが何をやってもいい「特別な人間」で、貧乏人の人権や命をゴミのように扱う。貧乏人は不正な手段を使ってでもなんとかのし上がろうとしたり、ひどい場合には「世の中への復讐」、つまり金持ちを襲って殺したりする。

 

 

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以下、私自身の感想を述べる

私としてはすべての中国人がそうだとは思わないし、著者の意見は中国の現状を憂うあまりやや悲観的すぎる部分もあるが、うなずける点も多い。本書に述べられていることは、私も中国で常々見たり聞いたり感じたりしていることだから。

 

三年間中国で暮していつも感じていたことなのだが、中国人や中国という国は愛国愛国と言っている割には同胞への「愛」が足りない気がする。発展の陰で、庶民の怒りが渦を巻いている。

 

自分は特別な人間で、何をやってもいい。他人の意見や権利などどうでもいい、なぜなら自分は優れた特別な人間、「正義」は自分にあるのだから。
なにやらドフトエフスキーの『罪と罰』の世界を彷彿とさせる。

これは確かに日本人に対する態度のほうがある意味まだましかも知れませんね(苦笑)


以前、ある中国の友人と食事していて、中国の反日デモ等について思わず愚痴をこぼした。その時、彼はやや自嘲気味に言った「(中国人は)自分の同胞にすら気配りできないのに、他国に気配りなんてできるわけないでしょう!」と。

彼の言葉は強く印象に残っている。
彼もまた貧しい農村出身だった。

 

なんとか、調和の取れた社会になってほしいものだが、日本人の私としてはただ「がんばってくれ」としか言えないのが残念だ。


最近の日本社会も格差問題が顕著になっており、だんだんギスギスしてきた。
この本を他山の石としたい。

 

这篇也是“小日本鬼子”的盲言,也是对中国的爱情表现,请原谅!

作为一个日本人,我实在无能为力,只好说“加油 !”两个字。

 

追記:記事冒頭にアマゾンの商品リンクを貼りました。
(2015.1.22)

    陳惠運『なぜ中国人は互いに憎み合うのか』” に対して1件のコメントがあります。

    1. Unknown より:

      ども、ご無沙汰してます、暑い日本はいかがですか?なかなか興味深い話です。中国ってこれからどうなってくんだろと、いろいろ予想はしてますが、まだまだ知らないことが多いですね。さっぱり分かりません。どうなることやら。

    2. 銘翰 より:

      中国的问题太复杂了,一言难尽啊。
      那本书的作者所写的,我认为还是非常有道理的。中国人自古以天朝自居,近代遭受侵略(西洋诸国,也有日本),更加贫穷落后。可是心理仍然不平衡,总想找个替罪羊。富人责怪穷人太多,没素质,穷人责怪富人没有仁义之心。百姓觉得政府很腐败,政府自称在为人民办事。汉人埋怨少数民族不开化,尤其是觉得满族人让中国落后于世界,应该承担主要责任。而少数民族觉得汉族太霸道,人口爆炸,到处抢占资源,同时也进行文化侵略(推广普通话等等)。
      总之,很少有人想去承担当代的历史吧,把责任推得一干二净。用自己的力量改变中国,这才是应该做的事情。
      谢谢电羊君对中国的支持。
      PS
      “对中国的爱情表现”中,我觉得“爱情”两个字用得不是很恰当。可能是汉和之间的区别吧,汉语中爱情只表示男女之爱,恋情。记得日语中比这用的广泛呢。对于国家的爱,在汉语中一般用“爱”或者“热爱”表示。 

    3. 電羊齋 より:

       >武藤 臼 様
      こちらこそご無沙汰しております。
      いやあ、本当に暑いです!
      先週、炎天下の中、大阪で開催される世界陸上の実況席設営のバイトに行ってきましたが、水分を摂っても摂っても次々と汗になって出て行く状態。1日で3リットル近く飲みました。もう少しで干物になるところでした。
       
      中国はこれからどうなっていくのか、私も正直予測はつきません。
      本文にも書きましたが、日本人の我々としてはただ「がんばってください」としか言えないのが歯がゆいです。
       
      >陳銘翰 様
      >“对中国的爱情表现”中,我觉得“爱情”两个字用得不是很恰当。可能是汉和之间的区别吧,汉语中爱情只表示男女之爱,恋情。记得日语中比这用的广泛呢。对于国家的爱,在汉语中一般用“爱”或者“热爱”表示。
       
      なるほど!
      原来如此,谢谢你的指正!
      日语的“爱情”也可以用在男女之间以外的事情,我不知不觉地写了“日式汉语”了。
      可是我的对中国的热爱简直像对女人的“爱情”一样,嘿嘿。
       

      >汉人埋怨少数民族不开化,尤其是觉得满族人让中国落后于世界,应该承担主要责任。而少数民族觉得汉族太霸道,人口爆炸,到处抢占资源,同时也进行文化侵略(推广普通话等等)。
       
      我也来中国以后发现这样的情况,颇有同感!
       
      可是中国也好,日本也好,都是由很多民族组成起来的国家(日本的民族当然没有中国多,我的祖先也不是大和人)。
      很多外国人和汉族人都单纯地认为“中华”和“中国(China)”就是汉族的,但中国历史上未曾存在“纯粹”的汉族国家,也不存在“纯粹”的少数民族国家。事实上都是汉族士大夫和少数民族贵族的“联合政权”,也可以叫“同君联合”。
       
      >尤其是觉得满族人让中国落后于世界,应该承担主要责任。
      国家的兴亡不是由一个民族,一个部族承担的
      就是“匹夫有责”的。
       
      >总之,很少有人想去承担当代的历史吧,把责任推得一干二净。用自己的力量改变中国,这才是应该做的事情。
      颇有同感。
      日本的ネットウヨ(网上右翼)也好,中国的愤青也好,都把责任推得一干二净,总想找个替罪羊。
      其实他们所说的内容很相似的。
       
      我们用自己的力量改变未来,创造新的历史,这才是应该做的事情。 

    4. yvette より:

      放暑假回家了,可以在中国住1个半月,特别开心。 我也觉得电羊之前的工作不太合适。还是换个工作比较好。加油! 

    5. Belinda より:

      お久!!
       
      > 「中国人や中国という国は愛国愛国と言っている割には同胞への「愛」が足りない気がする。」
       
      同感です。今の中国人の愛は、家族まで留まっているかも知れません。家のドアを一歩でも出たら、人に対する不信、猜疑がどうしても抱えているようです。
      実は先週大連から帰ってきました、初めての中国です。全体的なイメージは良かったですが、不思議なこともいくつが遭遇しました。たとえば銀行の警備員さんが勤務中に手テーブルにうつ伏せたり、女子トイレに、ドアがあるのに、大人の女性がドアを開けばなししたり、何よりもお客さんを泥棒扱いのお店の経営方針が理解し難い。
      人々は基本的に感じが良いんですが、どうも話を聞くと、お互い打算的な思惑を持っているようで、その表の仲良しさが見る見る寒く感じます。馬鹿正直な人はその社会で生きて行けないではないかと思います。
      「愛」ができないではありませんが、「利己」のほうが余りにも優先されてしまう傾向が強く感じさせられるね。自分が中国人としてこれからその地に何かをしたい気持ちが山々ですが、中国に住む人々が団結して「国のため、民族のため」の力になって頂けなければ、我々の熱意が「宣賓奪主」に疑がれるの恐れがあるうえ、ただただ流されてしまう淡い運命になるでしょう。
       

    6. 電羊齋 より:

       >♀★妍祺 格格
      昨天回到大连了。
      我也在大阪过假日特别开心。哪里都不如家乡好!
      你也好好休息吧!

      〉我也觉得电羊之前的工作不太合适。
      不是“不太合适”,是"太不合适”!
       
      >糠漬け 様
      お久しぶりです。
       
      確かに糠漬けさんのおっしゃるとおり。
      中国(大陸)の人は家族や友人を非常に大事にしますが、その反面「他人」には非常に冷たいところがありますね。
       
      >何よりもお客さんを泥棒扱いのお店の経営方針が理解し難い
      この点も同感です。
      私も中国に来たばかりのころは「そんなに俺を信用できないのか?俺を泥棒扱いするな!」と腹を立てていたものです。
      なんだか社会全体の雰囲気が「人を見たら泥棒と思え」という感じですね。
       
      確かに馬鹿正直な人は生きていくのが大変かもしれません。
      もし現代の中国に雷鋒が出現しても、おそらく生きて行けないでしょう。

      私が思うに、中国発展の最大の障害は「正直者が馬鹿を見る」という思想ではないでしょうか。
       
      日本や韓国、台湾などの新興国家、地域が経済成長を遂げられた最大の理由は、「正直者が報われる」という国民の信念があったからだと思います。私の父母たちも目先の利益を追わず4,50年間ただただ「馬鹿正直」に働いてきました。
       
      本当にどうなることやら、と思います。
       

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