精神的な「亡命者」

今回の日本人児童刺殺事件、そして度重なる日本人叩き、日本人学校叩きは怒りや悲しみには値しますが、中国の現状から言えば、驚くには値しません。

私は、中国に関わりつづけて以来、長年にわたり中国人からの差別を受け、それを我慢してきました。
もちろん数からいえば親切な中国人の方が圧倒的に多かったのですが、それでも心を削られる出来事も多くありました。
悪意のある差別、悪気のない差別、いわゆる「マイクロアグレッション」などなど、いろいろ経験してきました。

また、私自身が直接差別を経験した出来事以外にも、いろいろな事件、出来事が起きるたびに心を削られてきました。

こうした傾向は特に習近平体制になってからますますひどくなっているように思います。
いくら「歴史問題」やその他の国と国との問題があるからといって、こういうことをしていい理由にはなりません。

そして、今回の事件で心が完全に折れて砕けました。今回の事件がいわばとどめの一撃、コップへの最後の一滴となりました。


私は、今後、少なくとも習近平体制が続いている間は中国に渡航しません。
というか、もう渡航できないでしょう。

中国はもう私が幼少より憧れた国ではありませんし、50を過ぎて心身共に衰えているので今の中国の状況にはついて行けませんし、なにより差別主義とパターナリズムと社会ダーウィン主義が横行する国に積極的に渡航する気にはなれません。習近平さんはよくもまあ中国をこんな国にしてくれましたね。

え?なんですって? 日本もそうじゃないかって?
わかってますよそんなこと。
だからこそ私は、今現在も半ば世捨て人のような暮らしをしているわけです。その日本以上に苛烈な社会、日本の数々の問題を増幅したような国、つまり世捨て人になる余裕すらない国に渡航できるわけがありません。

 

中国は私の第二の故郷です。かけがえのない友人知人もいます。
しかし、今の中国は私にとってくつろげる場所ではありません。もう中国には私のような人間の居場所はありません。もう中国には帰れません。
私は第二の故郷を失いました。
いつかまた第二の故郷に戻る時が来るかもしれません。ですがそれは「今」ではありません。

今後は精神的な「亡命者」として暮らすつもりです。