佐藤賢一『歴史小説のウソ』

佐藤賢一『歴史小説のウソ』ちくまプリマー新書 510、筑摩書房、2025年。

歴史学徒から歴史小説家に転じた著者が語る歴史学と歴史小説の違い。

著者は、歴史学は現在とは異なる過去の時代を書き、歴史小説は時代を経ても変わらぬ人間を書くと位置づける。

そして歴史小説が人物の内面や会話など史料にない部分を補う上手な「ウソ」のつき方を種明かししている。

戦後日本という史観なき時代に求められたのが「司馬史観」だったという分析も面白い。

また、E・H・カーの「歴史とは現在と過去のあいだの終わりのない対話」を引き、自分の主観を持ちつつ過去との対話を行い、自分なりの史観を持つことを説いているのもよかった。

全体を通した感想として、やはり歴史学徒としての視点と歴史小説家としての両方の視点を持っていて、面白い分析をしていると感じた。
また、たとえ話がうまく、理解が助けられた。

『読書メーター』にも感想を投稿しました。

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