下馬碑
下馬碑とは文字通り「ここからは下馬せよ」と命じる碑であり、中国の宮殿や陵墓の入り口によく見られる。
瀋陽故宮の下馬碑は武功坊と文徳坊の外側、故宮の東南角と西南角に立てられている。
元々の由来は太宗ホンタイジの崇徳年間(1636~43)に、ここに木牌を立てて、下馬を命じたものである。馬に乗ってやってきた諸王や官僚たちはここで馬を下りて、大清門をくぐり参内しなければならなかった。
その後、派手好きの乾隆帝により、乾隆四十七年(1783)の東巡(東北巡幸)時に石碑に改められた。
石碑には、左から順に満洲語・モンゴル語・チベット語・ウイグル語・漢語が刻まれている。故宮西南角の石碑の現物はすでに失われ、以下の写真は現在建てられている複製品である。
(写真はクリックで拡大できます)
碑文は漢語では
諸王以下官員人等至此下馬
諸王以下官員人ら此に至らば下馬せよ
満洲語では
geren wang ci fusihūn hafasa ubade morin ci ebu
諸 王 より 下等の 官ら ここで 馬 から下りよ
という内容である。
瀋陽故宮の東南角の下馬碑も同内容で、昭陵(北陵)、福陵(東陵)など、その他の場所にある下馬碑もほぼ同内容である。
東南角の下馬碑は1999年に車が衝突して損壊、その後修復されている。
なお、このとき車の持ち主(運転者は即死)が瀋陽故宮博物院から100万元という多額の賠償を請求されている。
【追記】写真をより鮮明なものに差し替えました(2017.11.11)。
参考文献
佟悦編著『瀋陽故宮』清文化叢書、一宮三陵系列、瀋陽出版社、2004年羅麗欣:文・佟福貴:図『瀋陽故宮』遼寧世界遺産画廊、瀋陽出版社、2005