2025年12月の読書メーター

12月の読書メーター
読んだ本の数:9
読んだページ数:2157
ナイス数:145

締切と闘え! (ちくまプリマー新書 504)締切と闘え! (ちくまプリマー新書 504)感想
「締切」をテーマにした島本和彦氏の自伝的エッセイ。スケジュールの立て方、一日にできる仕事量を把握すること、編集者とのやりとり、編集者の要求を受け入れつつも妥協しすぎないこと、日常生活とのバランスの取り方などなど、締切を抱えながら仕事をする者にとって参考になる点が多い。また、島本氏ならではの業界の裏話・昔話もあり、楽しく読めた。自分も締切(納期)を抱えながら仕事をしている自営業(翻訳者)なので、本書の内容にはうなずける点が多かった。ただし、島本氏の熱すぎるエネルギーだけは真似できそうにないけどもw
読了日:12月06日 著者:島本 和彦
Sports Graphic Number「アスリートに学ぶ外国語学習法。」 2025年 12/25号(1133号) [雑誌]Sports Graphic Number「アスリートに学ぶ外国語学習法。」 2025年 12/25号(1133号) [雑誌]感想
特集「アスリートに学ぶ外国語学習法。」を読む。山本由伸(英語)、石川佳純(中国語)をはじめとする各種目の有名アスリートたちの外国語学習法が参考になる。主に挙げられているのは、たくさん聞いてたくさん話すこと、反復練習、文法の重要性、コミュニケーションへの意欲、「完璧さ」を求めないこと、目標設定の大事さなどであり、これらは一般人の語学学習と共通している印象を受けた。アスリートの語学の達人たちはなにも特別で独特な語学修行をしたわけではなく、あくまで基本に忠実な練習をひたすら積み重ねてきたということだと思った。
読了日:12月06日 著者:
古代文字を解読していたら、研究に取り憑かれた話 (一般書)古代文字を解読していたら、研究に取り憑かれた話 (一般書)感想
全体的に楽しく読めた。ヒエログリフ、フェニキア文字などなどの古代文字の研究者三人が綴る三者三様の生き方と学問へのスタンスが面白い。研究者三人が語る古代文字との出会いとその魅力もまた楽しい。読んでいて、自分が学問に出会ったときの初々しい気分が蘇ってきた。また、三人とも、古代文字・古代言語の学び方として、史料や文字を実際に紙に書くことの重要さを強調しているのはうなずけるところ。それから、効率重視の世の中で、研究をしながら生きていく大変さも書かれており、いろいろ考えさせられた。
読了日:12月07日 著者:大城 道則,青木 真兵,大山 祐亮
考察する若者たち (PHP新書)考察する若者たち (PHP新書)感想
正解のない「批評」から正解を求める「考察」への変化、「正解」によって「報われる」ことを求める風潮、「自分らしさ」からオススメされてしまうものへの「最適化」などなど面白い分析が多い。また「気づき」を重視する「ひろゆき的思考」と陰謀論との親和性についても指摘しており、興味深く読めた。ただ、タイトルに『考察する若者たち』とあるように、本書ではこれらの現象は主に若者層の現象と捉えられているが、ネット上の様子を見るに、実際にはこれらの現象は中高年層にも共通しているようにも見える。
読了日:12月07日 著者:三宅 香帆
中国思想の基礎知識 (角川選書 682)中国思想の基礎知識 (角川選書 682)感想
春秋戦国時代の諸子百家、漢代を経て儒教が体制教学化していく過程、儒・仏・道の「三教交渉」、朱子学・陽明学など中国思想の展開をうまくまとめている。伝世文献のみならず近年の出土文献による研究成果も盛り込まれていて面白く読めた。中国思想の日本への影響についても簡潔明瞭にまとめている。中国思想が諸子百家の頃から一貫して政治性と現実性を重視していたという著者の指摘は重要だと感じた。また「認知戦」・「寝そべり族」などを例に挙げ、中国思想と現代とのつながりにも触れている。分量は多いが読みやすい文章ですいすい読めた。
読了日:12月14日 著者:湯浅 邦弘
正しすぎた人 広岡達朗がスワローズで見た夢正しすぎた人 広岡達朗がスワローズで見た夢感想
1978年のヤクルト日本一と広岡達朗監督、そして現在の広岡について綴る。正しいことを正しく行えば結果が出るという信念を曲げず、基本とプロフェッショナリズムにこだわる野球人としての広岡像が如実に描かれる。それは時に頑固で冷酷に映り、最近ではそれが誇張されて「老害」などとして炎上する。しかし著者は広岡達朗という対象に粘り強く向き合うことにより、広岡という人物の多彩な面も引き出している。娘さんが語る父としての広岡像も面白い。そして過去を振り返り、時に反省する広岡はまさに「人生はいくつになっても勉強だよ」である。
読了日:12月30日 著者:長谷川 晶一
剽窃新潮剽窃新潮感想
小説家、編集者の生態が描かれていて楽しい。爆笑させられる話もあれば、電子図書、生成AIなど時事ネタもうまく盛り込んでいて唸らされる話もある。いしいひさいち先生の引き出しの多さに感服。登場人物はいしい先生の漫画に登場する人物たちが大集結している。「広岡達三」(広岡達朗がモデル)先生もいいし、藤原ひとみ先生も面白いキャラクター。「熊谷元直の妻」は圧巻。また歴史のマニアックネタも所々に盛り込まれており、第100話ではなんと「包衣」とか「ジャンギン」など清朝史・八旗制度ネタもありビックリした。
読了日:12月31日 著者:いしい ひさいち
大清国: ユーラシアにおけるマンジュの時代 (東北アジアの社会と環境)大清国: ユーラシアにおけるマンジュの時代 (東北アジアの社会と環境)感想
大清国(清朝)の意味を、漢、チベット、モンゴル、東トルキスタン(ウイグル)そしてマンジュ(満洲)の五者からの視点でとらえている。各地において前時代との連続性が保たれ、現地の制度・秩序を一定程度継承した統治が行われたことが丁寧に語られる。そして大清国が「中央ユーラシア王権」として広域支配を実現した秘訣として、自ら定着農耕民でありながらモンゴルの遊牧国家に通じる社会組織と軍制を持ち、中華王朝としての性格まで取り込むことができたマンジュの「農牧ハイブリッド性」が指摘されている。読みやすい分量で参考文献も充実。
読了日:12月31日 著者:
イスラームが動かした中国史-唐宋代から鄭和の大航海、現代回族まで (中公新書 2886)イスラームが動かした中国史-唐宋代から鄭和の大航海、現代回族まで (中公新書 2886)感想
中国ムスリムが中華文明を拒絶せず、無批判に受け入れず、独自の文化を生み出し、歴史上大きな存在感を放ってきたことがよくわかる。特に明清以降の記述が充実しており、多くの思想家たちの出現、近現代における中国ムスリムと世界との接触、宗教・民族的アイデンティティ形成、日本の回民工作、中国共産党の回民政策の少数民族政策の淵源としての意味、中華人民共和国成立以降の動向について丁寧に紹介されている。近年の中国政府による抑圧、社会の反イスラーム的言説などについても述べられている。現代の著名な回族、ウイグル族の紹介もある。
読了日:12月31日 著者:海野 典子

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