検閲ソフトの盗用疑惑(18日情報追加)
綠壩(リュイバー、グリーンダム)ソフトのパクリ疑惑については昨日も少しふれましたが、レコチャイでも報道されたのでもう少し詳しく補足しておきます。
インストール義務化の検閲ソフトはパクリだった?!米企業からソースコード盗用か―中国(Record China 6月15日6時44分)
(抄録、全文は上のリンクをクリックして読んでください)
先日、日本でも報道された中国のフィルタリングソフトのインストール義務化問題ですが、予想外の展開となっています。米SolidOak社はフィルタリングソフト「緑[土覇]-花季護航」が同社ソフトのソースコードを盗用していると発表しました。SolidOak社の創始者BrianMilburn氏は裁判所に使用差し止めを申し立てる方針を示しています。
米ミシガン大学が11日に発表したリポートもSolidOak社の主張を支持するもので、「緑[土覇]-花季護航」には盗用されたソースコードが存在することを認めています。その証拠の一つとしてあげられているのが「緑[土覇]」に含まれているウェブサイトのブラックリスト。SolidOak社のプログラム「CyberSitter」から転用されたことを指摘しています。また同リポートは「緑[土覇]-花季護航」には多くのセキュリティホールが存在しハッカーの侵入を容易に許すため、個人情報が盗まれたりコンピューターウイルスに感染する可能性があると指摘しています。
中国での報道はこちら(内容はほぼ同じです)
美国公司Solid Oak斥“绿坝”软件盗版CyberSitter(IT人 2009-06-14)
この「サイバーシッター CyberSitter」からの盗用疑惑は、記事にもあるとおり11日米ミシガン大学によって指摘され、同時に中国ネチズンらによる技術解析も行われ、その結果があちらこちらに転載されています。以下の技術解析はおそらくミシガン大学のものを参考に中国ネチズンが翻訳・改訂・増補したものと思われます。
绿坝-花季护航软件技术分析(不断更新中)オリジナル(最原始的版本)Zhu Leon 先生 谢谢您的指教!転載(「世界経理人社区」:このサイト以外にもいたるところに転載)绿坝-花季护航软件的百科全书[含技术分析,不断更新中]ミシガン大学の技術分析Analysis of the Green Dam Censorware System
この技術解析によると、「サイバーシッター」から盗用したソースコードやファイルが非常に多く、特に禁止サイトのブラックリストでは「サイバーシッター」の“Read me”ファイル(「サイバーシッター」のバージョン情報や注意書き)まで律儀にコピーしているというパクリぶりです。
ファイル名 csnews.dat問題の部分のコピー:http://privatepaste.com/bb1RyuqiVu
csnews.dat
May 10, 2004 CYBERsitter Version 9 released. This is a free upgrade and is available at: http://www.getcybersitter.com May 4, 2004 If you haven’t got a SpyWare checker for your computer yet, now is the time. SpyWare is installed by numerous freely downloaded programs, especially peer to peer file and music sharing programs. These types of programs can literally turn your computer into an unusable machine. It can cost you hundreds of dollars in repair costs. Our best advice: Never download file or music sharing programs. Always read every single word on the screen when installing a free program from the internet. If you see anything that indicates that the program is going to install any additional “enhancement” programs, abort the installation immediately. For more information on SpyWare, how to prevent it, and how to get rid of it, please visit: http://www.cybersitterhelp.com http://www.cybersitterhelp.com
(中国ネチズンによる解説)
这个文件是最喜剧的,滤霸抄袭美国人的过滤库就算了,还很临时工的把cybersitter别人的readme文件一起抄过来了このファイルは一番お笑い。アメリカ人のフィルタリングリストをパクッた上に、この臨時バイトときたら「サイバーシッター」の“Read me”ファイルまで一緒にコピーしやがった。
めっちゃ「律儀」やなあ(笑)
しかもdllファイルもまる写ししていたり、さらにはソリッド・オーク社の「サイバーシッター」アップデート用サーバーのアドレスまでそのまま使用しています。自社ソフトならなぜ自社のアップデート用サーバーを設置しないのでしょう。
ファイル名:wfileu.dat問題の部分のコピー:http://privatepaste.com/9c0oaeS0i1
他にも、プロレス・格闘技関係のサイトのブラックリスト wrestfil.dat を見ると、WWEなどアメリカンプロレス関連のアドレスばかりで、日本のK1などは リストに入っておらず、これも「サイバーシッター」のパクリである証拠だと指摘されています。さっきわたしも実際にファイルを見ましたが、こりゃ確かにアメリカンプロレス関連のアドレスばかりですね。
ファイル名 wrestfil.dat問題の部分のコピー: http://privatepaste.com/eapAh32NC8
さらに、綠壩(グリーンダム)の画像フィルタリング(濾過)機能をつかさどるファイルはOpenCVからもパクッているという情報もあります(上述の技術分析サイトでも指摘あり)。
绿坝被曝盗用国外开源技术 或已构成侵权 (鳳凰網 2009年06月13日 11時54分)
(以下は記事の要約)
米ミシガン大学の技術解析や中国の多くのネチズンの指摘によると、綠壩にはフィルタリング機能に関するファイルでOpenCVのオープンソースと内容が完全に一致するファイルがいくつか存在するにもかかわらず、著作権情報(BSDライセンス)が一切ないことがあきらかとなった。
だが、綠壩のメーカーである鄭州金恵公司は自社のウェブサイト上で綠壩について「画像識別技術における自主知的所有権を有する中国唯一の情報セキュリティフィルタリング製品で、中国のインターネット情報セキュリティ業界の自主的発展の新紀元を開いた」としている。
OpenCVの中国現地プロジェクトの責任者もコメントを発表し、「『綠壩』の核心的識別プログラムファイル“XFImage.xml”のルーツは完全にOpenCVの“haarcascade_frontalface_alt2.xml”です。『綠壩』はファイル内の版権情報を削除しただけで、それ以外の内容はOpenCVのファイルと完全に一致しています」と述べている。
また、綠壩には重大なセキュリティホールがあることも指摘されている。
オープンソースは、自由な使用・再配布が認められてはいますが、これは決して著作権の放棄を意味するものではなく、使用・再配布の際には原著作者(オリジナル製作者)の著作権情報を必ず明示しなければなりません。ましてや、自社の完全なオリジナル製品であると偽るのは禁止されています。
今回、違法性がどの程度認められるのかはわかりませんが、道理に従って考えるとどうも綠壩の分が悪い気がします。
(道理の通りにならないのが、中国なんですけどね)
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パクリ疑惑の追加情報(うちのブログ)
メーカーの反論
緑壩(リュイバー・グリーンダム)盗用疑惑 メーカーは強く否定
プロレス、格闘技関係のブラックリストを少し分析してみました
(なんと今はもう存在しないアドレスまで!)
ダムの上の亡霊 プロレスファンの見るグリーンダム
べ、べつにアメリカのソフトが好きだってわけじゃないんだからねっ!
“検閲ソフトの盗用疑惑(18日情報追加)” に対して4件のコメントがあります。
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绿坝-花季护航软件技术分析最原始的版本在这里https://docs.google.com/View?id=afk7vnz54wt_12f8jzj9gw
>Zhu Leon 先生谢谢您的指教!我尽快把连接贴在记事上,以后请多多指教。
この、ソフトに関しては色々お騒がせな部分がありましたが、
日本と日本の外のアジアのサブカルにも考えるきっかけにも
なりました。
同感です。
自分もこのソフトに関わる騒動が、日本とアジアのサブカル交流について考えを深めるきっかけとなりました。
この「グリーンダム」騒動は、中国サブカルの勃興を世に知らしめたという意味で、アジアサブカル史において非常に大きな意義があったと思います。