私の「電脳清朝史」愛好史（二）2004年春～2006年春

私の「電脳清朝史」愛好史（一）1996年春～2004年春

2004年4月2日、私は瀋陽の空港に降り立った。
あたりは一面の雪景色。前日に大雪が降ったとのことだった。

大学の関係者が車で迎えに来られており、留学先となる遼寧大学まで送ってもらえた。
その日のうちに大学の留学生宿舎に入居。新しい留学生宿舎はまだ出来上がっておらず、古い留学生宿舎だった（同年7月に完成）。

以後2006年の春までの2年間を瀋陽で語学留学生として過ごすことになる。

古い留学生宿舎にはまだブロードバンド回線がなく、インターネットは昔ながらのダイヤルアップ接続をせざるを得なかった。
当然ながら通信速度は遅く、そんな環境で日本の友人知人に近況をメールで知らせたり、ネットに接続していた。

ただ、当時は清朝史と満洲語による縁で満洲族・モンゴル族・漢族の三民族の学生と友人になり、外で活発に動き回っていたこと、そしてなにより新しい環境に慣れるのに精一杯で、インターネットでの不便さを感じている暇はなかった。

7月にとある知り合いの方のご紹介により、大学付近のアパートに引っ越し。
そこで初めてブロードバンド回線を導入し、ようやく高速ネット環境が整った。

それからはネットで積極的に活動し、当時よく出入りしていた東洋史系のウェブサイトに現地レポートを書き込んだりしていた。

2005年冬に一時帰国し、東洋史系ウェブサイトの管理人さんともお会いして、いろいろな話で盛り上がった。
そのウェブサイトは今はもうない。
管理人さんは今どうしているだろうか。

帰国時にたまたま読んだ本で「ブログ」というメディアの存在を知り、瀋陽に戻ってから、エキサイトブログで初めてのブログを開設してみた⁽¹⁾現在は削除済み。。
ブログタイトルは「瀋陽は涙を信じない」。好きな映画の「モスクワは涙を信じない」にちなんだものだった。
そこで、しばらく離れていた清朝史についての覚書程度の記事を書いてみた。それは本ブログの「俄羅斯佐領」の記事⁽²⁾白い八旗兵――八旗俄羅斯佐領――１https://talkiyanhoninjai.net/archives/1113 以下、本章で引用するURLの最終確認日は2020年9月15日である。の元になったものだった。
しかし、2005年の春頃に、中国のアクセス規制により、中国からエキサイトブログにアクセスできなくなってしまった。

そこで注目したのが当時人気だった「MSNスペース」⁽³⁾後のWindows Live Spaces、2011年3月にサービス終了。というサービスだった。
「MSNスペース」は多言語対応で、中国語でも、満洲語のメーレンドルフ式ローマ字で使用する特殊文字でも文字化けが発生しなかったので、利用を決定。
2005年5月から利用を開始。タイトルは「瀋陽は涙を信じない 沈阳不相信眼泪 Mukden yasa i muke be akdarakū」だった。このブログは以後、サービス終了によるWordPressへの移転、独自ドメイン取得、レンタルサーバー使用開始を経て、現在使用している本ブログへとつながっている。

タイトルの「Mukden yasa i muke be akdarakū」とは「瀋陽は涙を信じない」の満洲語訳である。実は開設当初は満洲語のミスで「Mukden yasa i muke be akdakū」となっており、翌年2月にとある清朝史研究者の方に指摘されるまで気づかなかった。情けない限り。

このブログでは中国語の勉強のために、日中二ヶ国語併記の日記をつけたり、清朝史・満洲語関連の記事⁽⁴⁾ https://talkiyanhoninjai.net/qinghistory-and-manjugisun-index を書いたりするようになり、後にそれがきっかけで清朝史研究者の方々とも知り合う機会を得た。

なお、2005年の秋ごろから、ハンドルネームを「電気羊」から「電羊斎」に変更した。
検索してみると、ハンドルネームとして「電気羊」を使用している人が非常に多かったからだった。
そこで頭をひねって、「電羊斎」にした。
後に正字体の「電羊齋」に再変更し、さらに満洲語ハンドルネーム「Talkiyan Honin Jai」（「電羊齋」の直訳）も考案して現在に至る。

2006年春、大連のとある日本企業に就職し、大連へと引っ越すことになる。

（つづく）

私の「電脳清朝史」愛好史（三）2006年春～2012年秋