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刘凤云《战事中的非常规捐纳――论康熙朝平三藩开启的捐纳事例》
《中国人民大学学报》(北京)2010.1,pp.115~123 → 《复印报刊资料・明清史》2010.7,pp.3~11
 
  

 清代の捐納(売官)制度は三藩の乱の際の戦費調達を目的として開始されたものであることはよく知られている。だが、三藩の乱における捐納については史料の制約もあり、これまで具体的な様相はよくわかっていなかった。
 本論文は、『清聖祖実録』・『平定三逆方略』・『清経世文編』等の編纂史料だけでなく、中国第一歴史档案館所蔵の『清三藩史料』を利用し、全三章にわたって当時の捐納の実態を具体的に考察している。 

 第一章では軍船建造の財源、第二章では馬匹調達の財源について検討し、捐納が軍船建造・馬匹調達の重要な財源となっていたこと、また捐納が行われた地域、並びに馬匹調達への貢献度による捐納の等級分け(官僚の考査資料となった)を明らかにしている。
 第三章では三藩の乱において開始された捐納制度のその後の影響について、主に『清経世文編』等に基づいて論じている。劉氏は捐納による官僚集団の質の低下、官僚政治体制・科挙制度への悪影響、腐敗の横行、捐納の投資を回収するための庶民への搾取について述べ、捐納制度が清一代を通じて政治体制の隠れたリスクとなっていたとしている。そして弊害を知りつつもなおも財源確保のため捐納制度に頼らざるを得なかった康熙帝の立場について指摘し、論文を結んでいる。

 

 档案史料による新鮮な情報が多く、面白い論文だった。
 特に
第一章・第二章では捐納を財源とした軍船建造・馬匹調達につき、『実録』や最近整理されつつある档案史料による具体例が数多く列挙されており、非常に興味深く読めた。  
 これまでは、史料の制約のため三藩の乱の研究は清朝史の他分野に比べあまり進んでいなかったが、档案史料の発掘によりそうした情況は徐々に
改善されつつあるようだ。