私は「ペーパー日本人」

最初に断っておきますが、「日本人」として「愛国心」をお持ちの方はお読みにならない方がいいかもしれません。

 

最近、自分の「日本人」意識が減退している。
両親は日本人で、私も生まれたときから日本国籍であり、当たり前のように日本国の中で生きてきたし、民主主義日本に対する強い愛国心も持っていたのだが、ここ10年ぐらいの間で、自分の日本国、日本社会への帰属感、さらには「日本人」意識がかなり薄まったように思う。
戸籍の紙の上では「日本人」だが、日本人意識は持っていない。
今や、ペーパードライバーならぬ、「ペーパー日本人」である。

その理由としては、まず第一に、ここ5年、10年の土崩瓦解とも言える日本の衰退、底が抜けたような政治・社会の腐敗と道徳・人権意識の崩壊により、自分自身が日本人としての誇りを持てなくなったこと。

第二に、ネット社会でも時折嫌な思いをすることがあること。
ネトウヨから「反日」呼ばわりされたことは時々あった。
そればかりでなく、日頃は立派なことを言っているアカウントからも感情的で差別的な発言を受けたこともある。
また、自分が当事者である問題に類似した中国の問題について黙っていられずに批判したら、日頃は人権を重んじているはずのアカウントたちから日本にも類似の問題があると一斉に批判されたこともある。自分こそがその日本における「類似の問題」のまさに当事者(被害者の子)だったのだが……。
彼らはそれを知らなかったのかもしれない。だが、私がそれを告白しても、一部の方は理解してくださったが、無視した人も多かった。これには正直ガクッときた。
自分が当事者でもないのに、当事者としての怒りを「盗用」し、当事者に対し上から目線で説教する。
たとえるなら、アメリカの黒人に対し、白人が逆に黒人に対して上から目線で偉そうに差別について講釈する現象(ホワイトスプレイニング)に似ている。

そして、第三に、これが最大の理由だが、自分が日本社会の中で「人並み」に扱われてこなかったことがある。
氷河期世代・団塊ジュニア世代として、殴られ蹴られて育ち、氷河期の中で非正規雇用、バイトなどで辛酸をなめてきた。
それに加えて、ASD/ADHDの当事者としての合理的配慮も受けることがなく、さげすまれて生きてきた。
そのあげくに社会からはじき出されて、今は半ば世捨て人として、在宅フリーランスとして細々と生計を立てている。

以上のように、自分は「日本」に住んでいるが、平等な「人」として扱われていない。
国籍上は「日本人」だが、ただ「日本」に住んでいるだけで、自分は「人」ではないのかなと時々思ってしまう。
それほど自分はこの国、この社会への帰属感が弱まっている。

このように、自分は「日本人」であるという意識がかなり薄まったように思う。
いってみれば、今や戸籍の紙の上だけの「ペーパー日本人」であるといえよう。