私は静かに暮らしたい

8月15日なので、敢えて無粋なことを書く。


最近、「愛国者」というものがほとほと嫌になった。



誤解がないように言っておくが、私はなにも日本と日本人のことが嫌いになったわけではない。
むしろ逆で、自分としては国や郷土を愛すること自体は結構なことだと思っている。
私は近代国民国家の枠から抜け出せないタダの人である。


私が嫌いなのは最近やたらに目立つ声がやたらデカイ「愛国者」だ。
あえて「 」付きで「愛国者」と書いたのは、そういう声がやたらデカイ連中をそれ以外の愛国者と区別するためだ。

 


自分が「愛国者」の皆さんをどうしても好きになれない理由は、彼らがほかならぬ日本と日本人自体を熱心に攻撃するから。
彼らは「外敵」に対するのと同じぐらい、否、それ以上の執念で、自分以外の日本と日本人を攻撃する。
「反日」、「不敬」、「お花畑」、「ガソリン携行缶」、挙げればきりがない。

そういえば『はだしのゲン』にも出てくるけど、戦時中の政府、軍部、マスコミ、隣組、国防婦人会、そして普通の人々もいい例かもしれない。
どうやってアメリカに勝つかよりも、自分の言うことを聞かない「非国民」を責め立てる方にご執心だったから。


でも、まあ、そりゃそうだよね。
普段付き合うこともない「外敵」よりも、身近にいて自分の言うことを聞かない「同胞」の方が憎たらしく思えるのは、心理的にむしろ当然。
 
自分が「愛国者」に批判的なのは、なにも外国人の人権を考えるとか「世界市民主義」だとかそんな殊勝な理由ではない。
自分はそこまで立派な人間ではない。
単に我が身がかわいいだけ。
ただ平穏無事に生きたいから、声のデカイ連中を遠ざけたい。
いわば防衛本能。

私は静かに暮らしたい。
私が静かに暮らせる日本であってほしい。