【感想】『ノイエ銀英伝』第三十八話 決意と野心
今回は、いろいろな「家族」が印象的だった。
ルビンスキーとルパート・ケッセルリンクの複雑な親子関係。確かに似たもの親子なのかもしれない。
残されたケンプの家族の悲しみがなんともつらい。悲しみに暮れる妻と気丈に振る舞おうとする二人の息子には胸が詰まった。
あの棺にはケンプは入っていない。いくら名誉を与えられてもケンプは帰ってこない。
ケンプとその家族は「帝国」の「軍人」の家族として振る舞い(振る舞わざるをえない)、ケンプが死んだ後もそうなのだと思った。
ヤンとユリアンの息の合った関係が面白い。ユリアンもやはりヤンを初めとする周りの大人によって「後天的な影響」を受けているのであろう。
軍人になりたいというユリアンに軍隊と軍人とは何かを説くヤンもよかったし、人生の先輩としてユリアンを見守るヤンが良かった。
これは前回でのメルカッツ→ヤンとの関係と似通った構図で興味深い。
そして、平和に飽き足らず、野心に邁進するしか孤独を癒やす手立てがないラインハルト。
彼には姉アンネローゼからも離れ、半身的存在だったキルヒアイスもいない。
ラインハルトは心を分かち合える「家族」さらには「友人」もいない。
部下やヒルダの戸惑いは、あるいはそういうところから来ているのだろうと感じた。
それにしても、ヒルダとの食事のシーンでワインをがぶ飲みしてるラインハルト。
食生活は大丈夫か。