積読、積読、また積読
クリスマス企画として、2024年12月11日(水)から12月25日(水)のクリスマス当日まで特定のお題の記事を一つずつ掲載します。
名付けて「電羊齋お一人様 Advent Calendar 2024」。
4日目、12月14日(土)のお題は「積読、積読、また積読」です。
多忙のため2日遅れの掲載となりましたことをおわびいたします。
積読、積読、また積読
今年もたくさんの本を買いました。
古本市、ウェブサイト『日本の古本屋』、中国の通販サイト、神田神保町、丸善などなどいろいろな場所でいろいろな本を買いました。
自宅内はさながら古本屋のごとしです。
そして、当然のことながら読書速度が本の増加に追いつくはずもなく、積読本が加速度的に増殖中です。
以下、今年買った主な本を紹介していきます。
全部は紹介しきれないので「主な本」だけです。
『アジア歴史事典』全10巻・『アジア歴史地図』・『東洋史料集成』(平凡社、1959~1962年→1984年新装復刊)
『日本の古本屋』で購入し、1月11日到着。
学生時代にお世話になった事典。東洋学全般についての情報量がすごい。清朝と旗人についての項目も多い。
日本の東洋学に勢いがあった時代だったんだなあと感じる。
記述内容にはさすがに古いところも目立つ(私が院生時代の90年代ですら古く感じた)が、とにかく情報量がすごい。
今年は清朝についていろいろ調べるつもりで買った次第。まあ、単なる趣味の範囲だけど。
『欽定八旗通志』(吉林文史出版社、2003年)
中国の古本サイト『孔夫子』から上海学術書店を経由して購入し、3月11日到着。
『八旗通志』とは八旗の総合百科全書的史料である。また、他の史料に載ってない情報も結構載ってたりするので面白い。
『八旗通志初集』は乾隆四年(1739)成立、『欽定八旗通志』は嘉慶元年(1796)に成立し、乾隆六十年(1795)までの記事も載せている。
『八旗通志初集』(『八旗通志』東北師範大学出版社、1985年)は、院生の頃、貧乏旅行して長春の東北師範大学出版社まで出かけて購入したが、『欽定八旗通志』はその後買おうかと思いつつもなぜか購入することがなかった。
しかし、最近どうしても欲しくなったので、円安の中大枚をはたいて購入。
中国にいる間に買っておくんだった!その頃は円高だったしなあ。
『中国史研究歴程』明代巻および清代巻(中国社会科学院『中国史研究動態』編輯部編、商務印書館、2022年)
中国の通販サイト『京東』で購入し、4月3日到着。
『中国史研究歴程』は中国史の論文・著作・研究動向を紹介する雑誌『中国史研究動態』の年度ごとの「総述」・「述評」(日本の『史学雑誌』の「回顧と展望」に当たる)をまとめたもの。
『中国史研究歴程』明代巻および清代巻では、文革終了後から2019年までの明代史および清代史の論文・著作・研究動向が年度ごとにまとめられている。
内容をざっと確認してみると、やはりその時々の政治・社会・学術界の風潮や雰囲気がそこに反映されており、なかなか興味深い。
『sibe (manju) gisun i buleku bithe 錫伯(満)語詞典』(新疆人民出版社、1987年)
春の古書大即売会(みやこめっせ)で5月2日に購入した本。
シベ語(満洲語)の辞書である。掘り出し物だった!
他にも良い本をたくさん見つけることができた。
5月31日に神田神保町で購入した本
写真一枚目は東方書店で購入。
竹越孝・斯欽巴図(スチンバト)編『『一百条』系諸本総合対照テキスト』(II)(好文出版、2023年)
竹越孝・斯欽巴図(スチンバト)編『『一百条』系諸本総合対照テキスト』(III)(好文出版、2024年)
福田昆之編『補訂満洲語文語辞典』(FLL、2008年)
荘吉発訳注『清語老乞大訳注』(文史哲出版社、2014年)
荘吉発校注『《満蒙漢合璧教科書》満文選読校注』(文史哲出版社、2019年)
荘吉発編訳『満語童話故事』(文史哲出版社、2004年)
新藤篤史『清朝皇帝とモンゴル僧――清朝前期のモンゴル統治と仏教政策』(風間書房、2024年)
遅子建『東北故事集』(人民文学出版社、2024年)
写真二枚目は内山書店、大雲堂書店、一誠堂書店で購入。
内山書店での収穫は次の4冊。
『新疆兄弟民族民間故事選』(新疆人民出版社、1979年)
『簷曝雑記(〔清〕趙翼 撰) 竹葉亭雑記((〔清〕姚元之 撰)』(中華書局、1982年)
孫邦 主編『吉林満族』(吉林人民出版社、1991年)
武斌 主編『清瀋陽故宮研究』(遼寧大学出版社、2007年)
大雲堂書店では、大城立裕『琉球の英傑たち』(プレジデント社、1992年)を購入。
一誠堂書店では、稲葉岩吉『光海君時代の満鮮関係』(大阪屋号書店、1933年→国書刊行会、1976年(復刻版))を購入。
『和刻本 資治通鑑』全4巻(解題:長沢規矩也、汲古書院、1973年)
『和刻本 資治通鑑』全4巻(解題:長沢規矩也、汲古書院、1973年)。
『日本の古本屋』で購入し、6月23日到着
明治時代に山名留三郎(善譲)が訓点を施して翻刻された「山名本」を影印したもの(三島中洲校閲、山名善譲訓点、鳳文館、明治十五年(1882年)六月序)。
院生の頃参加していた『資治通鑑』の講読会は「山名本」で行われていたので、個人的に思い出深い本である。
自分はこの山名本『資治通鑑』で漢文の訓読を本格的に教わった。今は漢文訓読はだいぶん錆び付いているけど。
ちなみに本書の奥付を見てみると「昭和四十八年十一月 發行」とあって驚いた。
実は私も昭和四十八年(1973)十一月の生まれ。
この本も私と同じ時代を歩んできたということか。なんというか感慨深い。
中華書局本『資治通鑑』(中華書局、1956年→2011年第2版)
中国の通販サイト『京東』で購入し、6月28日に到着。
中華書局本『資治通鑑』はまちがって2セット注文してしまい、2セット届く。
まあいいか。1セットは書き込み用にしよう。
丸善で買った本(6月30日)
6月30日に丸善で買った本。
ガブリエル・ガルシア=マルケス(著)、鼓直(訳)『百年の孤独』(新潮文庫、新潮社、2024年)
池澤夏樹監修『新潮文庫 ガブリエル・ガルシア=マルケス 百年の孤独 読み解き支援キット』(新潮社、2024年)
友田とん『『百年の孤独』を代わりに読む』(ハヤカワ・ノンフィクション文庫、早川書房、2024年)
南條竹則『中華文人食物語』(中公文庫、中央公論新社、2024年)
康熙奉『朝鮮王朝「背徳の王宮」――1冊でつかむ韓国時代劇の神髄!』(星海社新書、星海社、2024年)。
『百年の孤独』は積読となることが多いベストセラーらしい。
ちなみに私もまだいまだに積読である。恥ずかしい限りである。
諸橋轍次『大漢和辞典』(縮写版)(大修館書店、1958年→縮写版1967年)
下鴨納涼古本まつりにて8月11日に購入。
諸橋轍次『大漢和辞典』(縮写版)は全13巻で4000円とお買い得だったので思い切って購入。
実は古典漢文を勉強し直してみようかという気持ちになっていたところなので、お買い得な値段にも背中を押されて購入した。
(とはいえ、昔は高かった本が安く買えるのはうれしい反面、「その本の価値はそんなもんじゃないぞ!」という気持ちにもなり、複雑な心境ではある)
『大漢和辞典』は一人では持って帰れないので、古本まつりの本部まで持って行ってもらって発送してもらった。翌々日の13日に自宅に到着。
しかし、発送用の箱には全13巻のうち12巻しか収まらず、しかも13巻だとギリギリ制限重量オーバーとなることもあり、残りの1巻(巻九)はリュックに入れて持って帰ってきた。
下鴨納涼古本まつりでは他にもけっこういろいろな収穫があった。
10月31日、11月1日、3日に出町柳の臨川書店の古本バーゲンセールと秋の古本まつりで買った本
10月31日に臨川書店の古本バーゲンセールで、野口鐵郎『中国と琉球』(開明書院、1977年)を購入。
本書の内容は中国の『隋書』から『明史』までの正史の琉球伝・琉球関連史料および『清史稿』琉球伝の読み下しと注釈。こういう本があると便利かと思い購入。
前にも書いたが、我が父祖の地奄美、そして奄美と密接な関係を持つ琉球/沖縄関連の古本を少しずつ集めている。
それから百万遍知恩寺でその日から開催されていた秋の古本まつりで以下の本を購入。
宮崎駿『宮崎駿の雑想ノート【増補改訂版】』(大日本絵画、1997年)
『日本プロ野球史――沢村栄治から掛布雅之まで』(別冊一億人の昭和史、毎日新聞社、1980年)
馮爾康『清代人物伝記史料研究』(商務印書館、2000年)
『官場現形記 上(李宝嘉 作、入矢義高・石川賢作 訳)』(中国古典文学大系50、平凡社、1968年)
『官場現形記 下(李宝嘉 作、入矢義高・石川賢作 訳)、老残遊記・続集(劉鶚 作、岡崎俊夫・飯塚朗 訳)』(中国古典文学大系51、平凡社、1969年)
『児女英雄伝(文康 作 立間祥介 訳)』(中国古典文学大系47、平凡社、1971年)
馮爾康『清代人物伝記史料研究』は清代の人物伝記史料の研究と解題。便利そうな本。
『日本プロ野球史――沢村栄治から掛布雅之まで』は、今はすでに鬼籍に入った戦前プロ野球を知る方々の証言が載っていてなかなか興味深い。また、戦後一時的に存在した女子プロ野球関連の写真も掲載されている。
11月1日も臨川書店の古本バーゲンセールで以下の本を購入。
北島万次『壬辰倭乱と秀吉・島津・李舜臣』(校倉書房、2002年)
大江志乃夫『兵士たちの日露戦争――五〇〇通の軍事郵便から』(朝日選書349、朝日新聞社、1988年)
岡田英弘『チンギス・ハーン――将に将たるの戦略』(中国の英傑9、集英社、1986年)
荒野泰典(編)『江戸幕府と東アジア』(日本の時代史14、吉川弘文館、2003年)
反町茂雄『定本 天理図書館の善本稀書――一古書肆の思い出』(八木書店、1981年)
続いて百万遍知恩寺での秋の古本祭りへ。
本日の収穫は次の通り(写真左から6~7冊目)
杉山正明『耶律楚材とその時代』(中国歴史人物選8、白帝社、1996年)
馬歓(著)・小川博(訳注)『瀛涯勝覧――鄭和西征見聞録』(吉川弘文館、1969年)
杉山正明『耶律楚材とその時代』は院生の頃に読んで、いろいろな意味で衝撃的だった本。
史料批判や問題提起には注目すべき点もあるが、耶律楚材の「伝記」としては失敗している本。
今読んだら何か新しい発見があるかと思い購入。
11月3日の百万遍知恩寺での秋の古本祭りでの収穫は下記の通り。
恵原義盛『奄美の方言さんぽ』I(南島叢書30、海風社、1987年)
恵原義盛『奄美の方言さんぽ』II(南島叢書30、海風社、1987年)
ジーン・スタンカ、池井優『熱投スタンカを憶えてますか』(中央公論社、1985年)
劉鶚(著)、岡崎俊夫(訳)『老残遊記』(東洋文庫51、平凡社、1965年)
磯野富士子『冬のモンゴル』(中公文庫、中央公論社、1986年)
青木文教『秘密の国 西蔵遊記』(中公文庫、中央公論社、1990年)
青木正児『酒中趣』(筑摩叢書289、筑摩書房、1984年)
J・ニーダム(著)、牛山輝代(訳)、藪内清(解説)『中国科学の流れ』(思索社、1984年)
N・セビン(著)、中山茂、牛山輝代(訳)『中国のコペルニクス』(思索社、1984年)
中山茂、松本茂、牛山輝代(編)『ジョゼフ・ニーダムの世界――名誉道士(タオイスト)の生と思想』(日本地域社会研究所、1988年)
ジョゼフ・ニーダム(著)、山田慶児(訳)『東と西の学者と工匠――中国科学技術史講演集』上(河出書房新社、1974年)
ジョゼフ・ニーダム(著)、山田慶児(訳)『東と西の学者と工匠――中国科学技術史講演集』下(河出書房新社、1977年)
所荘吉『図解古銃事典』(雄山閣、1996年)
飯田利行『大モンゴル禅人宰相 耶律楚材』(柏美術出版、1994年)
東山健吾(監修)『日中国交正常化20周年記念 大黄河・オルドス秘宝展――中国・寧夏古代美術の粋』(NHKちゅうごくソフトプラン発行、1992年)
東山健吾(監修)『日中国交正常化20周年記念 大黄河・オルドス秘宝展――中国・寧夏古代美術の粋』は、北魏・北周などの北朝、そして西夏などの文物がなかなか面白い。
張建『清入関前歩兵研究』(中国社会科学出版社、2023年)
張建『清入関前歩兵研究』(中国社会科学出版社、2023年)。
明清交代期の清朝の歩兵、火器部隊について、近世世界の「軍事革命」の角度から論じた物。
自分が院生時代にやっていたテーマに近いので、中国の通販サイト「京東」でいそいそと購入。
現在じっくり読んでいるところ。
こうして私の積読本は増えていく。
しかも紙で買った本は他にも多いし、電子版で買った本はここにはまったく含めていない。
やれやれ。
来年は新しい本はあまり買わず、読みたい本はできる限り図書館で読み、積読の山も少しずつ崩していく決意である。
まあ、その決意が続くかどうかは確信できないが。