グリーンダム(绿坝)続報
中国検閲ソフト 低い性能? 毛沢東の顔写真わいせつと誤認(東京新聞WEB 2009年6月23日 朝刊)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2009062302000069.html
【北京=朝田憲祐】中国当局が7月から国内で販売されるパソコンへの搭載を義務づける「有害サイト」の検閲ソフトは、「天安門事件」など政治的に敏感なキーワードを入れると、強制的に回線が切れることが22日、分かった。
同ソフトを使ってみたところ、「六・四(天安門事件) 破壊」や「共産党 迫害」「ヌード」という言葉で検索すると、「この情報は有害! 間もなく遮断される!」と表示が出て=写真、朝田憲祐撮影、数秒後に画面が閉じた。
また、横綱朝青龍関の写真が表示されなかったり、米プロバスケットボールリーグ(NBA)のサイトが閲覧できなかった。画像全体のうち肌色が占める部分が多い写真を、わいせつ画像と誤認するらしく、毛沢東や鄧小平氏の顔写真など国家指導者でさえも表示されなかった。開発費に四千万元(約六億円)をかけたといわれる割に、ソフトの性能は低いようだ。
(全文は上のリンクをクリックしてお読みください)
東京新聞は中国関連では結構いい記事を書きますんで、見逃せないですね。
政治的に敏感なサイトやキーワードを強制遮断するのは予想通りですね。
中国政府はこれまでもネット回線を人海戦術で監視してきましたが、綠壩(グリーンダム)ソフトの導入により、ネット監視や強制遮断がより効率的に行えるようになるということでしょう。実は以前私も敏感なサイト(どのサイトかは想像にまかせます)にアクセスしようとしたら、ネット回線ごと強制遮断されてしまったことがあります。これはおそらく警告だったのでしょう。
結局ポルノ規制というのは建て前で、実際は政府にとって「有害」なサイトにアクセスさせたくないというのが本音というか最大の目的なのでしょう。
それから、記事でも取り上げられているソフトの機能的欠点について、もう少しくわしく補足しておきます。
まず、画像の肌色や黄色にやたら敏感で誤反応が多いのは、中国国内の報道でも指摘されています。報道によれば、アニメキャラを使った実験では、ドラえもんやハローキティはセーフでしたが、黄色(オレンジ色)部分が多いガーフィールドはフィルタリングされてしまったという結果が出ています。
同じ猫なのに差別はいけないと思います(笑)。
うちのサイトの背景色も肌色調なので、きっと遮断されてしまうのでしょう。7月以降アクセスが減りそうで心配です。
(風刺画)
「ぼくはただのガーフィールドだよ!」
黄色の画像を発見すれば、绿坝娘(りゅいばーにゃん)は即出撃。人民の健康なネット環境を守ります。
・・・・・・
次に、記事にもありますが、中国政府は、ソフトは強制ではなくアンインストールも可能だとしていますが、実際にはソフトのユーザーインターフェイスにはアンインストールコマンドが設置されておらず、PCの専門知識がない限りアンインストールは困難です。また、アンインストール後もいくつかのファイルは残存してしまいます。実質スパイウェアと同じですね。
そこで、最近脚光を浴びているのが、中国の無料セキュリティソフト「360安全衛士」で、このソフトを使えば綠壩をすっきり削除できるとして注目を集めています。绿坝娘(りゅいばーにゃん)イラストでも、ライバルの「360娘」として登場しています。
ライバルその1 360娘、十字の盾は「360安全衛士」のトレードマーク
XP娘を検査する绿坝娘(りゅいばーにゃん)とそれを阻もうとする360娘
360安全衛士 公式サイト(ご参考までに)
第三に、記事にはありませんが、綠壩(グリーンダム)のフィルタリング機能はIE(Internet Explorer)のみで、Firefoxを使うと検閲をすり抜けてしまう場合があるようです。ネット上では、綠壩を起動しながらFirefoxでエロサイトを閲覧することができたという実験結果も報告されていました。もっとも、スクリーンショットはしっかり記録されるようです。
元々中国国内ではIEでは見れないサイトや画像がFirefoxなど他社ブラウザでは見れたりする場合があるんですけどね(検閲との関係は不明ですが)。
ライバルその2 火狐娘
私はFirefoxユーザーなんで、こういうイラストは非常にうれしいです。
“グリーンダム(绿坝)続報” に対して2件のコメントがあります。
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最近、アジア全域で大人気のサブカルチャーという言葉に少し敏感になっています。よく、王力宏や周杰倫のことをアジア全域で大人気だが、アジアの中では流行っていない国は日本だけで、日本はそのアジアという概念から離れているという主張をする人間たちが存在します。そのアジアの歌手の日本人ファンたちは、これらの歌手が人気がないのは日本人が西洋により過ぎているからという事を繰り返すのですが、例のりゅいばーにゃん騒動を見ていると、日本製の流行が他のアジア諸国で好評を博している事の裏返しだと考えています。ヲタク文化以外にもj-popや日本製ドラマが同じ華人圏の臺灣・香港で人気が有るじゃないですか。香港が日本と合作したドラマでも日本でも香港でも人気のある成宮寛貴が起用されていることを考えると日本も捨てたモンじゃないと思います。なんでc-popが日本で人気がないことが駄目なのか最近分からないのです。最近考えているのはアジア全域で人気があるのはもしかしたら日本の流行かもしれないと思ってもいます。
>Tomohiroさんコメント感謝です!中国北方でも、日本の流行文化は確かに流行ってますよ~。日本文化も捨てたもんじゃないですよ、本当に!嫁さんもアニメやポップス(特に中島美嘉)が好きです。私が思うに、日本人は「脱亜入欧」という批判に敏感すぎるのかなという気がします。そして、アジア(特に中華圏)とは友好的でなくてはならない、アジア文化を理解しなければならないという一種の義務感のあまり、そうした主張をする人が出てくるのではないかという気がします。そもそも、文化そして文化交流というものは、「おもしろい」、「めずらしい」、「楽しい」という素朴な感情を原動力とするもののはずなのに、アジアを理解しなければならないという「義務感」だけに基づいて交流ひいては「友好」というお題目ばかり唱えている人が一部にいますね。そんなおざなりな「義務感」で相手と交流しても何も面白くないでしょうに。日本で中華圏のポップスがはやらない理由は、むしろそういう面白みのない人たちのせいでないかという気さえします。ですが、実際の日本とアジア諸国の交流は、そうした次元をすでにはるかに越えた形で進んでいるように思います。Jpopやアニメ、テレビドラマ、そして今回のりゅいばーにゃん。肩の力を抜いて、お互い楽しくやればいいんですよ。うちの嫁さんも別に「日中友好」だとか、そういう風にかまえず、ただただ柔軟に日本文化を楽しんでいます。あるいはそうしたところから、真の友好が生まれるのではないかという気がします。