読書記録(2014年9月)
今回も「読書メーター」の「まとめ」機能を使用して生成したブログ用記事を掲載。生成したブログ記事は、フォントは本ブログの体裁に合わせてメイリオに変更し、その他行間隔及び書名・副題の文字間隔等を適宜修正。
先月後半は忙しくて、なかなか読書の時間を取れませんでした。
今月こそは「読書の秋」に!
2014年9月の読書メーター
読んだ本の数:4冊
読んだページ数:1075ページ
ナイス数:22ナイス
康煕帝の手紙 (〈清朝史叢書〉)の感想
1979 年刊行の中公新書版の内容を大幅に増補改訂。本文に側注がつき、本文中の引用史料の出典も明示され、大いに読みやすくなった。康煕帝が三度にわたるモンゴル遠征中に皇太子に書き送った満洲語による私信からは、編纂史料からは見えてこない飾り気のない肉声がうかがえて面白い。遠征の厳しさに一喜一憂する指揮官としての康煕帝、だがそんな中でも努めて楽観的で愛情ある言葉を書き送ろうとする父親としての康煕帝、遠征先でも自ら現地の動植物を観察し、天文観測を行う好奇心旺盛な康煕帝。康煕帝の多面的な魅力を改めて感じされられた。
読了日:9月8日 著者:岡田英弘
西太后―清末動乱期の政治家群像 (世界史リブレット人)の感想
問題だらけの駄本。第一に、一応副題で「清末動乱期の政治家群像」と断ってはいるものの、西太后本人、西太后と政治家たちとの関係についての記述が少なすぎること。第二に、著者による研究や分析というものがまるで見られず、単に洋務派・変法派官僚の略歴を羅列しただけであること。第三に、本文や注に誤りが多いこと。第四に、注には誤りとまではいかなくとも内容が全く説明になっていないものも多いこと。私が問題のある個所にポストイットを貼っていったら、本が刷毛のようになってしまったほど。こんな本をよく出版できたものだ!全く!
読了日:9月9日 著者:深澤秀男
侯景の乱始末記―南朝貴族社会の命運 (1974年)の感想
一部で有名な「宇宙大将軍」侯景と老いた梁の武帝を描いた「南風競わず―侯景の乱始末記」。梁の使者として東魏を訪問中に侯景の乱が起きて帰国できなくなり、以後南北朝の政治情勢に翻弄され続けた南朝貴族の数奇な運命を綴った「徐陵―南朝貴族の悲劇」。侯景の乱の混乱により生まれた、梁の皇族を立てた北朝の傀儡政権後梁の歴史「後梁春秋―ある傀儡政権の記録」。以上3篇を収める。数多くの登場人物たちにより、南朝貴族社会の黄昏、そして南北朝時代からやがて隋唐時代へと向かう時代の転換点が浮き彫りとなっている。文章も読みやすい。
読了日:9月21日 著者:吉川忠夫
球童 伊良部秀輝伝の感想
鋭い観察眼を持ち研究熱心、だがその反面気まぐれで自分に甘く、子供っぽい男。本書から見えてくる伊良部秀輝像はこんな感じ。そして、強く印象に残ったのは著者の「伊良部は心の中に獣を飼っていた。その獣は嫉妬深く、劣等感の塊だった。」(p.89)という言葉。この言葉を読み、自分は中島敦『山月記』の「人間は誰でも猛獣使であり……」という一節を思い出した。伊良部もまた虎となった李徴のように「臆病な自尊心と、尊大な羞恥心」にとらわれていたのだろうか。第10章掲載の伊良部の実父へのインタビューも深く心に残った。
読了日:9月21日 著者:田崎健太
読書メーター
“読書記録(2014年9月)” に対して2件のコメントがあります。
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お久しぶりです。
伊良部は、本当に可哀想でしたね。
才能を持ちながら、才能をもったゆえの自尊心が
彼の世界を狭くしていたのでしょうか。
はい。全く同感です。
やはり優れた才能を持ってしまったがゆえに、自尊心が彼の世界を狭くし、周りからも誤解され、やがて孤立していったという印象が強いです。
そのあたりがまさに『山月記』の李徴と重なり合います。
自分としては、阪神タイガースの2003年の優勝に大きく貢献してくれた伊良部には感謝の念しかありません。
単に勝ち星だけでなく、メジャー生活で培った理論と経験を阪神投手陣にもたらしてもくれましたし。
改めて感謝の念を捧げ、故人のご冥福をお祈りしたいと思います。