ウイルスという「大義名分」

例の新型肺炎でいろいろな差別が広がっているらしい。
武漢人は湖北省で差別され、湖北省人は中国人に差別され、中国人は日本人を含むアジア人に差別され、アジア人は欧米で差別される。
差別が同心円状に広がっている。

人間の理性とは誠に脆いものだ。
世界各地で中国人とアジア人への差別を「正当化」できる「大義名分」が見つかって小躍りしているものがいる。
特に日本について考えてみれば、これは90年代後半以降続いた嫌中ビジネスの「成果」というべきだろう。まったく情けない。
日本大震災の時もそうだったが、平時にはオチャラケてた人が差別に憤り、正しい情報を知らせるためにネット上で熱心に動いている反面、日頃「愛国」だなんだと勇ましいことを言っている連中は他者を罵り、素人判断を堂々と語り、デマを撒き散らすばかり。


そして、これまた東日本大震災でも見受けられたが、新型肺炎という事態に乗じて、ここぞとばかりに自分の政治的願望を実現しようとしたり、宣伝したり、デマをまき散らす者たちが、日本の上下左右を問わずに大量発生している。
上は政治家から下はネット民まで、「世を挙げて狂えるが如し」だ。
そんなことをしている場合か。
まるで病室で寝ている病人と治療に当たる医師に向かって、大声で選挙演説をするようなものだ。単なるノイズでしかない。

世の中には、ウイルスという「大義名分」を利用して、自分の考えを躍起になって「正当化」しようとする人間が多すぎる。
みんなオタオタしすぎだろう。
まずは落ち着いてほしい。

本ブログでは、ここ数年は時事問題について封印していたが、我慢できなかったので書いた。