2025年6月の読書メーター

6月の読書メーター
読んだ本の数:5
読んだページ数:1448
ナイス数:113

輶軒語: 清朝科挙受験指南 (924) (東洋文庫)輶軒語: 清朝科挙受験指南 (924) (東洋文庫)感想
張之洞が科挙受験生に向けた指南書。読書と学習の心得、経(儒教の経典)・史(歴史・地理)・子(思想・科学など)・集(文集・詩文など)など各分野での具体的な中国古典の学習法、具体的な科挙受験対策などが盛り沢山に紹介され、今でも参考になる指摘が多い。また付録の奏摺(上奏文の一種)には当時の四川省での替え玉受験など科挙での不正、それに対する張之洞の解決策などが書かれている。中国古典学習入門、具体的な科挙受験対策、清末の科挙制度の実態としてなどなど、いろいろな角度から読めて非常に面白かった。
読了日:06月20日 著者:張 之洞
人生で残酷なことはドラゴンズに教えられた (小学館新書 489)人生で残酷なことはドラゴンズに教えられた (小学館新書 489)感想
私は物心ついて以来の阪神ファンで、強かった時代も弱かった時代も経験し、世の中の理不尽さ、人生のさまざまなことを阪神から学んできた。本書を読んでみると著者も同じような思いであることがわかり、球団を超えた強い共感を覚えた。まるで球場でビールを飲みながら(またはテレビ中継を見ながら)自チームにぼやいている古参ファンが目の前にいるようで、非常に楽しく読めた。巻末の宇野勝との対談も楽しい。
読了日:06月22日 著者:富坂 聰
五胡十六国時代: 王朝の乱立と権力闘争 (ハヤカワ新書)五胡十六国時代: 王朝の乱立と権力闘争 (ハヤカワ新書)感想
本書サブタイトルの通り数々の王朝が乱立し、その王朝内でも複雑な権力闘争が行われた五胡十六国時代。この滅茶苦茶ややこしい時代について、司馬越、石勒、苻堅、慕容垂、赫連勃勃ら章ごとに定点的な主人公的人物を設定して、その視点から解説するという形を取っている。おかげで各王朝・集団の動向が追いやすくなっている。また、この時代の各王朝の構造、各王朝での胡漢の混合、この時代独特の「天王」号など興味深いテーマが多かった。
読了日:06月24日 著者:小野 響
星野と落合のドラフト戦略 元中日スカウト部長の回顧録星野と落合のドラフト戦略 元中日スカウト部長の回顧録感想
中日で38年にわたってスカウトを務めた中田宗男氏の回想。特に星野と落合というドラゴンズ黄金期を作り出した監督それぞれのドラフト戦略について明らかにしている。星野は「将来性」、落合は「即戦力」重視ということらしい。有力な選手でも巡り合わせやチーム編成などの兼ね合いでドラフト指名できなかったりすることが多いことがわかった。また興味深い問題として、「ナゴヤドームの呪縛」すなわちナゴヤドームの広さのため、打撃に特化した選手が取りにくくなり、それが中日の打力低下につながってしまったという著者の反省も述べられていた。
読了日:06月24日 著者:中田宗男
ラテン語の世界史 (ちくま新書 1860)ラテン語の世界史 (ちくま新書 1860)感想
ラテン語とラテン語世界の歴史。興味深かったのは、中世西欧では、ローマ帝国時代には及ばないにせよ、キリスト教修道院により古典写本の作成、ラテン語教育が行われ、やがてそこから大学が発生するなど、ラテン語と古典教養が断絶しなかったこと。また、行政用語としての使用、ラテン語の子孫といえるフランス語、イタリア語、スペイン語などロマンス諸語の形成過程、そしてラテン語が「俗語」とされてきた各国の言語、近世以降における「国語」へと次第に交代していく過程についても触れていて参考になった。
読了日:06月28日 著者:村上 寛
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