2025年10月30日 木曜日 晴れ 読書と古本探索

昨夜、寝る前に、まずヌルハチ、ホンタイジに仕えた漢人たちに関する論文を読む。
初期は教養にも性格にも「難あり」な人もいたけど、だんだん伝統的な漢文化の教養と満洲語能力を兼備した人を登用するようになっていたようだ。
登用する側もしだいに目が肥えていったということらしい。

次に、読書が中断していた張建『清入関前歩兵研究』(中国社会科学出版社、2023年)を読む。
本書では、軍事史、清朝史、世界史、科学技術史などなど諸分野を見渡す広い視野で清朝軍事史を捉え直している。

まず第一に、本書では、軍事技術と戦術が政治、社会、経済において大きな変化をもたらす「軍事革命 Military Revolution」と軍事技術上の変革である「軍事における革命 Revolution in Military Affairs,RMA」をしっかり区別した上で、明清交代期の清朝による軍事改革、火器の導入が政治、社会、経済において一連の大きな変化を引き起こした「軍事革命」をもたらしたと位置づけている。

本ブログに一部掲載している私の「火器営」に関する修士論文「清代火器営考」では、「軍事革命 Military Revolution」と「軍事における革命 Revolution in Military Affairs,RMA」をしっかり区別できていない。
そして、やっぱり軍事史をやるには軍事に限定されない広い視野が必要だと改めて感じた。

第二に、同じ史料でも漢文だけじゃなくて満洲語版もしっかりチェックすれば、新しい発見があることもわかった。
自分としても、今後ブログ記事の執筆において、満洲語史料をより積極的に活用していく必要を感じた。

第三に、本書は、清朝の「騎兵」中心のイメージの見直しを迫っている研究でもある。
本書も含め、近年の研究によれば、清朝は実はその初期から歩兵や火薬・火器を積極的に運用していて、決して騎兵一辺倒ではなかった。
この点は私も同感。

清朝=八旗=騎兵(騎射)の伝統というイメージは、特に乾隆年間以降に乾隆帝と清朝が満洲人に対して「純朴」や「尚武」といった「伝統的美徳」を強調するために喧伝したものであり、それが現在にまで影響を与えているものらしい。
いわば、現在の必要性のために、過去になかったはずの「伝統」を創りだしたという形になる。「創られた伝統」という言葉を連想した。
日本において、戦国時代が遠く過ぎ去った江戸時代、そして武士階級が消滅し近代化が進む明治時代以降に再構築された「武士道」のようなものだろうか。

本書は精読の必要がありそう。

読書しているうちに日付が変わったので就寝。

 

今朝は7時過ぎに布団から抜け出す。
寒くて布団からなかなか抜け出せなかったが、「エイヤッ」と気合いを入れて一気に布団から脱出した。

洗濯物を干し、ゴミを出して、朝食をとり、9時少し前に家を出た。

今日は自分に休みを与えることにした。
外はさわやかな秋晴れ。

9時半頃に出町柳付近の臨川書店に到着する。今日から3日間「古書バーゲンセール」が開催されており、朝からたくさんの人だかりができていた。
ちょっと欲しいなと思った本の値段を見てみると高くて仰天。あきらめた。

しばらく本を見て回って以下の2冊を購入。

  • 井上徹、塚田孝 編『東アジア近世都市における社会的結合――諸身分・諸階層の存在形態』大阪市立大学文学研究科叢書 3、清文堂、2005年。
  • 高津孝 編訳『中国学(シノロジー)のパースペクティブ――科挙・出版史・ジェンダー』勉誠出版、2010年。

井上徹、塚田孝 編『東アジア近世都市における社会的結合――諸身分・諸階層の存在形態』には、以前本ブログで取り上げた下記の論文が入っている。

定宜庄(上田貴子訳)「清代北京城内の八旗鰥夫」

https://talkiyanhoninjai.net/archives/2296

高津孝 編訳『中国学(シノロジー)のパースペクティブ――科挙・出版史・ジェンダー』では、欧米の唐宋以降の中国に関する研究を翻訳した論集。
個人的には、ルシル・チア「中国の出版・書物文化における大変貌――初期スペイン領フィリピンにおける中国の書物と出版」に目を引かれた。
16~17世紀当時のスペイン領フィリピンにおける中国人・中国系の人々による中国書の出版活動、フィリピンへの中国書輸出など興味深い話題が多い。

臨川書店で本を見終わってから、付近の某ファストフード店でモーニングセットを注文し、しばらく休憩。

10時半頃から京大付近の古本屋を何軒か見て回り、それから百萬遍知恩寺で本日から開催されている「秋の古本まつり」を探索。

百萬遍知恩寺の門前に立っている「秋の古本まつり」の看板。古本まつりの様子を背景とした、日本髪を結った和服の女性のイラスト。
本日は以下の2冊を購入。

  • 馮家昇『馮家昇論著輯粋』中華書局、1987年
  • 李淑賢『わが夫、溥儀――ラストエンペラーとの日々』学生社、1997年

馮家昇『馮家昇論著輯粋』は、中国の歴史家である馮家昇(1904-1970)の論集。
契丹(遼)など北方・西方の民族史、火薬など科学技術史、古代ウイグル文(回鶻文)に関する論考が収録されている。
自分としては火薬など科学技術史に関する論考を目当てに購入。火薬に関する古典的研究なので。

李淑賢『わが夫、溥儀――ラストエンペラーとの日々』は溥儀の最後の妻である李淑賢による回想。
中国語版はすでに持っているので、今回日本語版も買うことにした。

会場内を時計回りに2周して本を見て回り、13時頃に会場を出て帰路につき、途中で昼食をとり、14時台に帰宅。

帰宅後、シャワーを浴びて落ち着く。

今日は合計4冊購入。

  • 井上徹、塚田孝 編『東アジア近世都市における社会的結合――諸身分・諸階層の存在形態』大阪市立大学文学研究科叢書 3、清文堂、2005年。
  • 高津孝 編訳『中国学(シノロジー)のパースペクティブ――科挙・出版史・ジェンダー』勉誠出版、2010年。
  • 馮家昇『馮家昇論著輯粋』中華書局、1987年。
  • 李淑賢『わが夫、溥儀――ラストエンペラーとの日々』学生社、1997年。

写真左から井上徹、塚田孝 編『東アジア近世都市における社会的結合――諸身分・諸階層の存在形態』(大阪市立大学文学研究科叢書 3、清文堂、2005年)、高津孝 編訳『中国学(シノロジー)のパースペクティブ――科挙・出版史・ジェンダー』(勉誠出版、2010年)、馮家昇『馮家昇論著輯粋』(中華書局、1987年)、李淑賢『わが夫、溥儀――ラストエンペラーとの日々』(学生社、1997年)。

今後古本の入れ替えや補充もあるだろうし、私自身が見落としている本もあると思うので、あと1~2回古本探索に出かけるつもり。

15時頃からはノンアルコールビールを飲みながらのんびりした。
なぜノンアルコールビールかというと、急な案件が来たときにいつでも対応できるようにするためである。自分にとっては休みだが、世間では平日の昼間。今日は結局急な案件は来なかったけど。

日本シリーズ第5戦は現時点で3回裏阪神の攻撃中で、1-0でリード。
今日勝たないと今年の野球は終わり。
頼んだ!

【追記】
ソフトバンクホークス日本一おめでとう!
来年こそは!来年こそは!阪神タイガースが勝つ!
これで今年のプロ野球は終わり。
全球団の監督・選手・関係者の皆さん、そして全プロ野球ファンの皆さん、お疲れさまでした!