2026年1月の読書メーター
1月の読書メーター
読んだ本の数:6
読んだページ数:1528
ナイス数:218
コナン・ドイル伝 ホームズよりも事件を呼ぶ男 (講談社現代新書 2797)の感想
コナン・ドイルとその時代、作品についてわかりやすく語る。彼は良くも悪くも好奇心旺盛で行動力抜群な人物だったようで、社会的影響力も大きく、著者はそれを「インフルエンサー」と表現している。ドイルは近代化する英国社会、帝国主義、戦争、科学と心霊主義という時代背景の下で生き、彼自身の生涯と作品、そして晩年の心霊主義への傾倒にもそれが反映されていることが本書からわかる。ドイルと彼が生み出したホームズはまさに「時代の子」だったのだろう。ドイルとその作品に関連する場所を実際に訪ねて現状を取材しているのも良い。
読了日:01月10日 著者:篠田 航一
豊臣秀長-「天下人の賢弟」の実像 (中公新書 2877)の感想
豊臣秀長の実像を堅実に復元している。やはり家族・親族関連、前半生についてはまだまだわからないことの方が多いらしい。読みどころは秀吉の中国地方平定、本能寺の変後から豊臣政権確立期での秀長の役割の大きさを数多くの史料から解き明かしているところ。単なる「補佐役」としてだけでなく遠征軍の司令官としての有能さ、大名・茶人・文化人との交友の広さと調整力も兼ね備え、「秀吉の後継者」とも目される大きな存在であったことが明らかにされている。著者の言うように彼の早すぎる死がなければ家康の台頭もなかったかもしれない。
読了日:01月11日 著者:和田 裕弘
外国語独習法 (講談社現代新書 2773)の感想
比較言語学を研究し、多種多様な言語を学んだ著者が言語学習のコツをわかりやすく語る。私もいくつか言語を学んできたが途中で挫折したり中断している言語も多く、それだけに著者の語る語学学習の難しさ、そしてそれらを克服するコツには頷かされるところが多かった。特に、自分を責めない、意識してカメになる、ハードルを上げすぎない、完璧主義にならないというのは非常に参考になった。それから「写経」すなわち書いて覚えることの重要性と有効性については自分の経験から言っても同感。今後は本書を座右の書として語学に取り組みたい。
読了日:01月16日 著者:大山 祐亮
成瀬は都を駆け抜けるの感想
失恋した女の子、「達磨研究会」の面々、簿記YouTuber、成瀬の母、高校時代から成瀬に憧れつづける男子学生ら成瀬を取り巻く人々が少しずつ変わっていく。そしてみんなで大団円へ。やっぱり成瀬は魅力的で面白いキャラだし、誰に対しても何に対しても先入観を持たず平等に接するところに惹かれる。自分の娘のために「そういう子なので」と言った母も偉大。そして「琵琶湖の水はみんなのものだ」に作者の琵琶湖愛を感じた。私も一時期滋賀に住んでいて、現在は京都に住んでいるので、知っている場所や地名がたくさん出てきて楽しかった。
読了日:01月18日 著者:宮島未奈
歴史小説のウソ (ちくまプリマー新書 510)の感想
歴史学徒から歴史小説家に転じた著者が語る歴史学と歴史小説の違い。著者は、歴史学は現在とは異なる過去の時代を書き、歴史小説は時代を経ても変わらぬ人間を書くと位置づける。そして歴史小説が人物の内面や会話など史料にない部分を補う上手な「ウソ」のつき方を種明かししている。戦後日本という史観なき時代に求められたのが「司馬史観」だったという分析も面白い。また、E・H・カーの「歴史とは現在と過去のあいだの終わりのない対話」を引き、自分の主観を持ちつつ過去との対話を行い、自分なりの史観を持つことを説いているのもよかった。
読了日:01月24日 著者:佐藤 賢一
朝鮮の王朝外交 ”ややこしさ”からの気づき (集英社新書)の感想
三国時代から朝鮮王朝までの朝鮮半島外交史をさまざまな角度から照射している。統一新羅時代の新羅・渤海・唐・日本での高句麗・百済遺民の動向とその存在感、東アジアにさまざまな王朝が並立した宋代に皇帝を称したり、元朝に対して「はじき出されず、呑み込まれず」立ち回った高麗、明に対する「事大」とその他隣国との「交隣」の両面による外交政策を「礼」・「天」・「誠信」などの論理で裏付けていた朝鮮王朝など興味深い内容が多い。これまでの「ややこしさ」、「事大主義」などの一面的イメージを覆す新しい研究が反映されている好著。
読了日:01月25日 著者:森平 雅彦
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