塩出浩之『琉球処分――「沖縄問題」の原点』
塩出浩之『琉球処分――「沖縄問題」の原点』(中公新書 2860、中央公論新社、2025年)
日清に両属していた琉球王国が日本の沖縄県として併合される過程を概説。
本書の特色は『尚家文書』など琉球王国側の史料を駆使し、併合に抵抗する琉球側の視点と論理を詳細に明らかにしていることである。そこからは琉球側の日本(ヤマト)への認識の深さが読み取れた。
その一方で、併合した側である日本政府側の琉球への無知および政府官僚の沖縄と沖縄人への植民地視も明らかにされている。
そしてその関係性がその後現在に至るまで継続していることを思えば、まず日本人としては沖縄について知ることから始めなければならないのだろうと思った。
まあ、私の先祖は奄美群島の島人(しまんちゅ)で、それこそ400年間いろいろあったらしいんで、本書を読んでいろいろな思いが湧いてくる。