自己皇帝感
今日はひさびさに雍正年間の漢文奏摺(皇帝への私信の形式で出す上奏文)を読んだ。
こちらは、台湾國立故宮博物院蔵の原文画像(PDFファイルをダウンロード可能)。
《宮中檔奏摺-雍正朝》,田文鏡 奏,〈奏謝議敘臣盡心買辦米糧賑濟事〉,雍正02年12月15日,故宮009813 號,件 1 ,國立故宮博物院 ⋈ 清代檔案檢索系統,(2025/08/24瀏覽)
https://qingarchives.npm.edu.tw/index.php?act=Display/image/4663184wzEP=ps#97l
この奏摺は、穀物が豊富な場所、豊富な時に穀物を買い入れて、足りていない場所、足りていない時に売って価格調整をする政策(平糴 へいてき)についての内容。
他の臣下がいい加減な仕事をしたり、いい加減な情報を信じて上奏しているのに比べて田文鏡は非常によくやっている、という雍正帝のお褒めに預かった河南巡撫田文鏡が「めっそうもございません」、「皇上のご決断、ご指導があってこそです」といった奏摺を送っている。
それに対し、雍正帝の自己肯定感ならぬ「自己皇帝感」あふれる硃批(しゅひ 赤ペンコメント)がついている。
赤ペン先生雍正帝!
朕はこういう男だし、こういう気性だし、こういう皇帝だ。汝ら大臣が朕(の期待)に背かなければ朕も汝らに背かないんだぞ。励めよ!
(原文)朕就是這樣漢子、就是這樣秉性、就是這樣皇帝、爾等大臣若不負朕、朕再不負爾等也、勉之
実に「自己皇帝感」にあふれたコメントだと思う。私も見習いたい(←冗談です)。
もう少し掘り下げてちゃんとした形の記事にしようと思ったが、検索してみると、すでに他のブログなどネットでけっこう取り上げられていたり、以前東博の特別展(下記リンク先参照)でも展示されたことがあるらしい。
まあ、有名な奏摺だからなあ。
このネタはひとまずこれぐらいにする。
漢文を読む練習になったと思うことにする。
特別展「台北 國立故宮博物院-神品至宝-」朱批奏摺(河南巡撫田文鏡)
https://www.tnm.jp/modules/r_exhibition/index.php?controller=item&id=3889
特別展の図録がまだ残っていたので、東博に注文した。
もし東博の図録、今後の調査などで新しい情報が見つかれば、改めてちゃんとした形の記事にしたい。