故宮の武器・武具
故宮太和殿西南の弘義閣南の細長い建物(弘義閣迤南西廡)には清代の武器と武具が展示されている。
(写真は全て2009年11月2日撮影)
乾隆帝の猟銃(火縄銃)および火縄銃用の火薬入れ、弾丸。
神威将軍砲。康熙年間に宣教師フェルビースト(南懐仁)が造った軽量火砲。
背景の絵は、乾隆年間のジューンガル部・回部平定を描いた「準回両部平定得勝図」(リンク:京都国立博物館収蔵品データベース)。
威遠将軍砲。康熙二十九年(1690)製。
威遠将軍砲は散弾を発射する砲。曲射が可能で、攻城戦や山岳戦に威力を発揮。
輪子砲。回転式弾倉による連発銃。
子母砲。フランキ(仏郎機)系火砲。子砲と呼ばれる弾薬カートリッジを砲身(母砲)後方の開口部に装填し発射。発射後は砲身を清掃し、次の弾薬カートリッジを装填するだけでよく、発射間隔が短かった。また小型・軽量で機動性に富み、八旗の騎兵とともに辺境で行動することの多い火器営(八旗の鉄砲隊・砲兵隊)に好んで使用された。
清末に導入された後装式小銃。銃剣つき。右側は騎兵銃(中国語で「馬槍」)。見たところドイツのモーゼル系統のようだ。清朝は十九世紀末にモーゼル小銃の輸入とコピー生産を開始しており、これらの小銃はおそらく当時の輸入・コピー生産品の一部だろう。
騎兵銃(カービン)。馬上での取り回しを考慮し、銃身を短く切り詰め、槓桿(ボルトハンドル)が折り曲げられている。
皇帝用の馬具。鞍・鐙・手綱など。
各種冷兵器。戟・槍・偃月刀・斧
号角。角笛・ラッパ。軍隊で信号として用いられた。
弓矢とえびら。
【追記】写真を貼り直し、文章を一部手直ししました(2017.11.11)
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参考文献・サイト
『皇朝礼器図式』(四庫全書本)『欽定四庫全書』上海古籍出版社、1987年
王兆春『中国火器史』軍事科学出版社、1990年
篠田耕一『武器と防具・中国編』Truth In Fantasy XIII、新紀元社、1992年
I.G. Mod. 71. (M1871) German Mauser(2009年11月29日アクセス)http://www.militaryrifles.com/Germany/71Mauser.htm
世界鉄砲図鑑 一言説明 モーゼル社(2009年11月29日アクセス)http://www2.odn.ne.jp/~cdh17500/WorldGun/SetDoiMuth.htm
Gewehr 1888(M1888)Wikipedia(英文版)(2009年11月30日アクセス)http://en.wikipedia.org/wiki/Model_1888_Commission_Rifle
“故宮の武器・武具” に対して2件のコメントがあります。
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うわーこんなのやってたんですね!やっぱりガッツリ見に行くべきでした…。半日だと見切れないんですよねぇ…。
>宣和堂さんそうなんですよねえ。故宮は広すぎて半日では見切れないですわ。私もかなり駆け足で見てまわりました。次回は朝一番に出かけて夕方の閉館ぎりぎりまでじっくり見てまわろうかと思っています。