辺境から見た「中国とは何か?」――神田信夫・松村潤・岡田英弘『紫禁城の栄光』
神田信夫・松村潤・岡田英弘『紫禁城の栄光』講談社学術文庫、講談社、2006年11月
(原著:神田信夫・松村潤・岡田英弘『紫禁城の栄光』大世界史11、文藝春秋、1968年4月)
本書を貫くテーマは、「中国」とは何か、そしてどのようにしてできあがったのかというもの。
「シナから中国」への展開、すなわち漢人が主に住まい漢文化を育んてきた「シナ(中国本土・チャイナプロパー)」から東アジアと中央ユーラシア(内陸アジア)世界(モンゴル・チベット・満洲)を包摂した「中国」への展開の歴史として明清史が語られる。辺境・中央ユーラシアからの視点で中国を考察し、いかにして現在の「中国」ができあがっていったのかを明らかにする。
辺境・中央ユーラシアにウエイトを置いた明清史であり、50年以上前に書かれた内容とは思えないほど先進的。
中央ユーラシアにおける諸民族・諸地域の動向とともに、明・清両王朝の基本的な史実を知ることができ、かつ明・清王朝の立ち位置がよく分かる。
明清史の概説書・入門書、そして同時にこの「中国」を受け継いだ現在の中華人民共和国を見つめるための材料としても非常に有用な本だと言える。
本書内容につき、詳しくは講談社ウェブサイトの本書の内容紹介を参照されたい。
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000151375
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