満文『水滸伝』 šui hū bithe

今日、「Manjurist http://manjurist.blogspot.com/」というサイトの「What’s Where in Manchu Digitized Texts(「Manjurist」の満洲語デジタル化テキスト所在リスト)http://manjurist.blogspot.com/p/whats-where-in-manchu-digitalized-texts.html?m=1」で「šui hū bithe」という文字に目が止まった。

Gallica(フランス国立図書館)http://gallica.bnf.fr/ のサイトで公開されているもので題名にはなぜか「monggo fafun-i bithe. [Meng-gu lü li 蒙古律例.]」とあるが画像は満洲語(満文)『水滸伝』のもの。

とりあえず、「What’s Where in Manchu Digitized Texts」の「Šui hū bithe (299 pages). Volumes 1-5? of Shuihuzhuan. Incorrectly catalogued as “Monggo fafun-i bithe [Meng-gu lü li 蒙古律例].”」をクリックしてみると、下記リンク先へ。

https://gallica.bnf.fr/ark:/12148/btv1b90029283/f1.item.r=bithe.langEN.planchecontact

『水滸伝』の第一巻から第五巻らしい。冒頭には確かに「šui hū bithe」(直訳すると「水滸書」)とある。

ええっと、『水滸伝』って確か乾隆帝から名指しで満洲語への翻訳を禁じられてましたよね……(『高宗実録』乾隆十八年(1753)七月壬午(二十九日)条)。
実は満文『水滸伝』はちゃんと存在するというお話を以前研究者の方からうかがったことはあったが、これまで見たことはなかった。
なんというか、「ラピュタは本当にあったんだ」という心境である。
禁じられている物ほど読みたくなるのが人情というものらしく、それで現代まで残ったのだろう。

というわけで実は今日初めて見る。まあ、あの『金瓶梅』に満洲語訳があるぐらいだから、『水滸伝』が訳されていてもちっともおかしくないわけだけど。

最初にfiyelen i ton 総目があり、その後に百八星の登場人物リストがあり、それから本文という形式。

登場人物リストでは、tiyan g`ang usiha gūsin ninggun niyalma 天罡星三十六員に sung giyang 宋江、lu jiyun i 盧俊義、u yung 呉用……から yan cing 燕青までの名前と説明が並んでいて、di ša usiha nadanju juwe niyalma 地煞星七十二員に ju u 朱武から duwan ging ju 段景住までの名前と説明が並んでいる。

時間ができたらじっくり調べてみたい。

(以上のリンク先はそれぞれ2020年10月3日閲覧)

参考文献

施耐庵・羅貫中著『水滸全伝』岳麓書社、2001年

参考ウェブサイト(2020年10月3日閲覧)

Manjurist
http://manjurist.blogspot.com/

「What’s Where in Manchu Digitized Texts」
(「Manjurist」の満洲語デジタル化テキスト所在リスト)
http://manjurist.blogspot.com/p/whats-where-in-manchu-digitalized-texts.html?m=1

Gallica(フランス国立図書館)
http://gallica.bnf.fr/

満文『水滸伝』巻一~巻五(Gallica(フランス国立図書館))
https://gallica.bnf.fr/ark:/12148/btv1b90029283/f1.item.r=bithe.langEN.planchecontact

明實錄、朝鮮王朝實錄、清實錄資料庫(中央研究院歷史語言研究所、韓國國史編纂委員會)
http://hanchi.ihp.sinica.edu.tw/mql/login.html