「軍事研究」?

以下、政治的な話題です。
愛国的な方はここから先を読まないことをおすすめします。

さて、最近は学術会議などをめぐる国会審議が続いている。
どうやら政治家の皆さんや愛国的な人々は、「軍事研究」がお好きなようだ。
ただ、今のままでは、10年後、20年後には、彼らの望むような軍事研究すら満足に進められなくなっているのではないか。

軍事研究も、他の学術分野と同様、「科学」にほかならない。
これまで「選択と集中」などの名のもとに科学研究の基盤を自ら掘り崩してきたこの国が、そのまま掘り崩し続けながら高度な軍事研究を成立させようというのはさすがに無理があるだろう。

自分も院生時代には軍事史をかじっていたし、実際に軍事に多少なりとも関わったこともある。なので軍事研究自体を一概に否定しようとは思わない。
ただ、だからこそ言いたいのは、軍事とは社会のあらゆる要素、なかでも学術や科学によって支えられているものだということ。

本気で軍事研究を発展させたいのであれば、文系・理系、人文科学・自然科学を問わず、科学研究全体を振興し、研究者に自由な研究環境と潤沢な資金を与えることが不可欠だと思う。
そうすれば、他の学術分野との相乗効果により、軍事研究は放っておいても自然に発展する。かつての日本や欧米がそうであったように。

妙な「改革」を押し進めたり学術会議などの組織をいじくる前に、まず学術と科学の振興のため、やるべきことはいくらでもあるはずだ。