2025年5月の読書メーター

5月の読書メーター
読んだ本の数:5
読んだページ数:1210
ナイス数:98

中国皇帝の条件:後継者はいかに選ばれたか (新潮選書)中国皇帝の条件:後継者はいかに選ばれたか (新潮選書)感想
中国の皇帝の後継者選び、その時代の政治史などを解説している。ユニークなのは歴史上似た立場、似たタイプの皇帝同士をセットで対比する構成で、秦の始皇帝と漢の武帝、前漢の恵帝と清の順治帝、唐の太宗と宋の太宗などといった並びになっている。内容については、あとがきにもあるとおり、歴代正史・『清史稿』に沿っている。近年の研究はあまり参照していないらしい。個人的感想としては、清の皇帝たちについての記述、清の政治史に関する認識はかなり古く見えたし、満洲人の名前の表記についても気になる箇所が多かった。
読了日:05月11日 著者:阪倉 篤秀
中華とは何か ――遊牧民からみた古代中国史 (ちくま新書 1856)中華とは何か ――遊牧民からみた古代中国史 (ちくま新書 1856)感想
著者はまず「中華思想」には排他的側面だけでなく、徳を持つ者が「中華」であり、周辺の「夷狄」も「中華」になれるという融合的側面もあることを指摘する。その上で時に「中華」を支配した遊牧民の視点から「中華」について語る。本書からは「中国」・「中華」・「中華思想」・「漢人」・「漢族」は、遊牧民など周りの集団・文化を取り込んで絶えず変化してきたこと、そして遊牧民たちも決して単純かつ一方的に「漢化」したのではないことがわかる。これまでの研究成果を堅実に踏まえた概説であり、要所要所をしっかり押さえていると思う。
読了日:05月17日 著者:松下 憲一
世界史のリテラシー 朝鮮は、いかに「外患」を克服したのか: ホンタイジによる丙子の乱 (教養・文化シリーズ)世界史のリテラシー 朝鮮は、いかに「外患」を克服したのか: ホンタイジによる丙子の乱 (教養・文化シリーズ)感想
丙子の乱の経過、朝鮮王朝の建国、秀吉の侵攻、後金・大清の勃興といった歴史的背景、さらには乱後の動向と丙子の乱についての歴史的記憶が取り扱われている。本書では、秀吉と大清の侵略という相次ぐ外患に内政・外交両面で対処しつつ、兵制改革、火器の導入など意欲的な軍備再建・軍事改革を行う朝鮮王朝が描かれる。そこには「朝鮮は政争にあけくれていたので侵略を受けるのも当然であった」、「朝鮮が朱子学の教義にしたがい、冷静な現実判断ができなかった」という従来のステレオタイプとは異なる朝鮮王朝の姿が描かれている。
読了日:05月17日 著者:鈴木 開
歴史のなかの貨幣 銅銭がつないだ東アジア (岩波新書 新赤版 2057)歴史のなかの貨幣 銅銭がつないだ東アジア (岩波新書 新赤版 2057)感想
現代社会では同じ額面の貨幣は同じ価値を持つが、前近代ではそうとは限らない。近世東アジア各地における銭の選別と階層化すなわち「撰銭」という現象の解説が面白かった。また、中国で大量鋳造された銅銭が当初は金属素材として日本に流入し、結果的に基層での貨幣取引を促進したこと、ビタ銭の流通、日本での古銭の模造、倭寇と銅銭流入、古銭の退場などなど興味深い話題が多い。なにより基層での少額通貨の充分な流通が商取引を促進し、民の生活と物価にとって重要であったことも理解できた。この辺はまさに「金は天下の回りもの」だと感じた。
読了日:05月25日 著者:黒田 明伸
ライジングサンR(18) (アクションコミックス)ライジングサンR(18) (アクションコミックス)感想
これにて完結。まだまだ続くと思ってたけど、これぐらいで終わるのがちょうどいいのかも。これまで読んでいて、元陸自の読者としてけっこう楽しませていただき、また考えさせられる描写もありました。お疲れさまでした。
読了日:05月31日 著者:藤原さとし

読書メーター