読書記録(2013年9月)

 今回は読書メーター2013年9月の読書記録をまとめて掲載。

 本ブログの右側にも読書メーター」のウィジェットを追加し、最近読んだ本が表示されるようにしてみた。

 読書メーターでの私のアカウント及びリンクは下記の通り。

電羊齋@新館 莫談國事
http://book.akahoshitakuya.com/u/383213

 以下、著者・書名、読了日、感想、書誌情報の順に掲載。感想は読書メーターに掲載したものをそのままコピーした。

 

柳澤健『完本 1976年のアントニオ猪木』(文春文庫)
2013年9月5日読了

単行本に大幅加筆。特に「第5章 大邱の惨劇―パク・ソンナン戦」が出色の出来。韓国プロレス史に関する内容が大幅に追加されている。金一(大木金太郎)・韓国プロレス界と時の朴正熙政権の深い結び付きについての記述には非常に読ませるものがある。プロレスを軸にした日韓裏面史といったところか。そして、これまた文庫本で追加された猪木本人へのインタビューは良くも悪くも猪木らしい内容で、言葉による「プロレス」とも感じられた。

柳澤健『完本 1976年のアントニオ猪木』文春文庫、文藝春秋、2009年

 

皆川ゆか『評伝シャア・アズナブル――《赤い彗星》の軌跡』(講談社文庫)
2013年9月14日読了

シャア・アズナブルを歴史上の人物として捉えた「評伝」。テレビ・劇場版・小説・その他外伝的作品を上手く整合させているし、シャアの内心に対する「考察」も面白かった。自分のシャア解釈とは異なる点もあったが、著者の視点には色々と気づかされる点が多かった。初代『ガンダム』から『逆襲のシャア』をもう一度見直したくなった。

皆川ゆか『評伝シャア・アズナブル――《赤い彗星》の軌跡』講談社文庫、講談社、2012年

 

福島香織『潜入ルポ 中国の女―― エイズ売春婦から大富豪まで』(文春文庫)
2013年9月22日読了

第一章、第二章のエイズ村と売春婦、人身売買の話は凄絶の一言。ただ単に男尊女卑だけでなく、中国社会のあらゆるゆがみが彼女たちに集中しているように感じた。まさに中国の社会問題の縮図で、正直読み進めるのが辛かった。第三章では、そうした中国社会でなお美しく、したたかに、たくましく生きる女性たちを取り上げており、これまた中国社会の色々な側面が伺えた。特にツェリン・オーセル氏と女性漫画家の胡蓉氏が印象的。 それにしても、取材対象の女性たちが多様であるように、中国もまた多様。本書を読んで、改めてそう感じさせられた。

福島香織『潜入ルポ 中国の女―― エイズ売春婦から大富豪まで』文春文庫、文藝春秋、2013年

 

ボリス・アクーニン『堕ちた天使――アザゼル』
2013年9月27日読了

ストーリーのテンポもよく、訳文も読みやすく、19世紀の雰囲気も楽しめた。ハッピーエンドかと思いきや……

ボリス・アクーニン著、沼野恭子訳『堕ちた天使――アザゼル』作品社、2001年

 

阿川弘之、半藤一利『日本海軍、錨揚ゲ!』
2013年9月28日読了

長年にわたり旧海軍と太平洋戦争について書いてきた作家二人による対談録。ユーモアと辛辣さを交えながら、旧海軍の美点と欠点について語る。特に、戦後まだ健在だった提督たちへの取材経験が豊富な二人の語るエピソードはかなり興味深い。また、「第二二話 大本営発表の嘘のすさまじさ」で、半藤氏が当時の新聞から「大本営発表」での米艦船撃沈数を調べた話は読んでいてなんとも言えない気分になった。まず嘘のすさまじさに、そしてその嘘を全て信じたとしても、米艦船の撃沈数は当時の米海軍の艦船保有数には及ばないという事実には驚くばかり。

阿川弘之、半藤一利『日本海軍、錨揚ゲ!』PHP研究所、2003年

 

原田久仁信『劇画 プロレス地獄変』
2013年9月30日読了

どの作品も良かったけど、個人的には猪木の北朝鮮での「平和の祭典」を描いた「平壌の冷たい夏」、さまよい人ターザン山本を描いた「放蕩息子の帰還」、谷川貞治の絶頂と転落を描いた「Kの悲劇」が印象的だった。プロレスと格闘技、そしてそれを追いかけるメディアがすさまじい熱気を持ち得た時代だったんだなあと、強く感じさせられた。自分もその時代をリアルタイムで経験してきただけに感慨深かった。

原田久仁信『劇画 プロレス地獄変』宝島社、2013年