鹵簿と品級山
故宮博物院の太和門外西側、協和門左右の細長い建物には皇帝の鹵簿(ろぼ、行列)・儀式・儀仗に用いられた旗や笠、その他様々な用具が展示されている。写真は全て2009年11月2日撮影(クリックで拡大表示)。
多種多様な旗と幟
九龍曲蓋。
説明は『大清会典図』をそのままコピー。私にとっては現代中国語よりもむしろこちらの方がありがたい。
静鞭。皇帝の鹵簿が来る前に、この鞭を振り回して騒ぎを静める。
さて、展示で面白かったのが、「品級山」と呼ばれるもの。
品級山とは、清代に宮中で大典を挙行する際、文武百官が整列する位置を示す山の形をした目印のこと。清代の官員の等級は正一品・従一品から正九品・従九品まで十八の品級に分けられていた。文武百官は大典の際、各自の品級と対応する品級山の前に整列した。
例えば、文官では内閣大学士(宰相クラス)が最高位の正一品、各部・院の尚書(大臣クラス)が従一品、各省の行政・治安責任者の総督が正二品、巡撫が従二品にランクされていた。武官では領侍衛内大臣(近衛師団長クラス)が最高位の正一品、将軍・都統(八旗各旗の指揮官)・提督(各省緑営の指揮官)が従一品、八旗制度の最小単位であるニルの長である佐領(ニル=ジャンギン)は正四品にランクされていた。なお、皇族・モンゴル王侯・新疆の諸侯、及びチベットのラマは品級には組み入れられておらず、いわば別格の存在だった。
考古用語辞典 Archeology-Words:品級山(2009年11月28日閲覧)
品級山は品級の高さの順に展示されている。前列(通路側)が正、後列(壁側)が従となっている。
左:満文 jingkini sunjaci jergi 右:漢文 正五品
左:満文 ilhi ilaci jergi 右:漢文 從三品
従一品
左:満文 ilhi ujui jergi 右:漢文 從一品
左:満文 jingkini ujui jergi 右:漢文 正一品
写真を貼り直し、タイトルと本文を一部手直ししました(2017.11.11)。