近代世界を生き抜く清朝――吉澤誠一郎『清朝と近代世界――19世紀 シリーズ中国近現代史 1』

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吉澤誠一郎『清朝と近代世界――19世紀 シリーズ中国近現代史 1』岩波新書1249、岩波書店、2010年6月


「外国の侵略に対し何らなすすべもなかった腐敗堕落した王朝」。


それが中国そして日本で定着してきた清朝のイメージだ。


しかし本書では、幾多の内憂外患に直面しつつも、近代世界の中で自己変革を遂げ、列強と渡り合う清朝が描かれている。


近年の研究成果が反映された豊富なトピックが平易な文体で生き生きと語られ、読みやすい。


引用されている史料やエピソードも面白い。特に曾国藩の日記が面白く、自己修養に努めようと頑張るがつい寝坊したり、だらしない生活を送ってしまい、日記で反省する曾国藩が微笑ましい。



そして、「おわりに」で著者は、清朝の自己変革につき、内陸アジアから東南沿海部への重心の移動、さらには内陸アジア的国家から近代国民国家としての「大清帝国」(これは「大日本帝国」を強く意識した名称でもある)への移行という視座から総括している。


(本書評は「読書メーター」に掲載した内容に修正・加筆を行ったものです)

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