戦前戦中期(民国期)を対象とした日本語文献に見る「アルバジン人」など

今日はうちのブログで取り上げている俄羅斯佐領オロスさりょう(オロス=ニル、八旗のロシア人部隊)関連の調べ物をしていた。本ブログでの関連記事は以下の通り。

白い八旗兵――八旗俄羅斯佐領――1

白い八旗兵――八旗俄羅斯佐領――2

白い八旗兵――八旗俄羅斯佐領――3

白い八旗兵――八旗俄羅斯佐領――4

白い八旗兵――八旗俄羅斯佐領――5

さて、国会図書館デジタルコレクションで俄羅斯佐領に関連するキーワード「アルバジン人(17世紀の清朝とロシアとの戦争で捕虜となり、俄羅斯佐領の構成員となったロシア人とその子孫、ロシア語ではアルバジンツィ Албазинцы」とそのコミュニティ「アルバジン村」についてキーワード検索してみると、わりと多くの文献がヒットする。
古くは明治時代の文献、主に戦前戦中期(中国での民国期にあたる)の日本語文献に多く登場する。さらには戦後になってから戦前戦中の北京を回想した文献にも時折登場する。

当時の日本人にとって、北京で数百年にわたり暮らし、正教の信仰を守ってきた「アルバジン人」と「アルバジン村」非常に興味を引かれる存在であったらしい。
それらの文献をざっと読んでみると、「アルバジン人」は容姿、言語や生活習慣はすでに中国人と変わらなくなっているものの、ロシア正教の信仰を守って生活する様子が記されている。
当時のロシア教会「俄国教会(北館)」(現在の駐中国ロシア大使館)で農業や牧畜が行われている様子、付近の「アルバジン人」のコミュニティ「アルバジン村」などの雰囲気も興味深い。
もう少し文献が集まったら、戦前戦中期(民国期)または当時を回想した日本語文献に見える「アルバジン人」について別個に記事にしてみたい。

当時の「アルバジン人」・「アルバジン村」に関する主な参考文献は下記のとおり。他にも関連文献は非常に多い。

イ・イ・セレプヤンニコフ「アルバジンツィ」[1929]『東洋 = The oriental review』32(5)([366])、東洋協會、pp.46-61。国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/11187317

金在斗[1938]「阿爾巴青族」『満蒙』19(6)、満蒙社、 pp.1134-1141。国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/3564767

安藤更生[1941]「俄國教會(アルバジン村)」『北京案内記』新民印書館、pp.82-83。国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1875359

田口稔[1940]「アルバジンツイ区とその文献」『北窗』2(4)、満鉄哈爾浜図書館、pp.78-80。国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1554709

内田寛一[1943]「滿支雜感 北京―ロシアのギリシヤ正敎敎會經營村を見る アルバヂン村」『東洋 = The oriental review』46(9)([535])、東洋協會、pp.85-88. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/11187488

以上、現段階でのメモというか中間報告ということで。