今日の満文論語―おかえりなさいませ ご主人様―
子曰、唯女子與小人、爲難養也、近之則不孫、遠之則怨。(『論語』巻九 陽貨第十七)
子曰わく、唯(ただ)女子と小人とは養い難しと為す。これを近づくれば則(すなわ)ち不孫(ふそん)なり。これを遠ざくれば則ち怨む。
先生がいわれた「女と下々の者だけは扱いにくいものだ。近づけると無遠慮になるし、かといって遠ざけると怨む」。
(現代語訳:金谷治 訳)
満洲語訳(『御製繙譯論語』巻九 陽貨第十七 四庫全書本)
子曰、唯女子與小人、爲難養也、近之則不孫、遠之則怨。
fudzi hendume,damu hehesi ,buya niyalma be ujire de mangga.hanci obuci anashūn akū.aldangga obuci gasambi.
夫子(先生)がいうには、ただ女たち、小人を養うのはむずかしい。近くに置けば謙虚さがない。遠くに置けば怨む。
(満洲語からの翻訳)
fudzi:夫子(先生)、漢語の夫子 fuzi から。
満洲語訳では「女子」は hehesi(女たち)、小人は buya niyalma(ちっぽけな人)となっていて、この点は伝統的な解釈と同じ(満文訳はおおむね『四書章句集注』(新注)に基づく)。
この言葉は女性陣には非常に評判が悪い言葉のようだが、長らく人口に膾炙してきた言葉でもある。
以前、乗り合いタクシーに乗り合わせたオバはんとおしゃべりしていた時、オバはんに「中国の女性の印象は?」って聞かれて、「中国の女性はすごいですよ!なにしろ聖人でも『養い難しと為す(爲難養也)』ぐらいですから」って答えたらオバはん大笑いしてたなあ。
あの、けっして女性を敵に回そうとか、嫁さんに不満があるとかいうわけではないのである。ただ「ツンデレ」の「デレ」の部分が少し増えるといいなあと考えているだけなのである……むにゃむにゃ。
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以上は伝統的な解釈。
以下、最近の解釈を。(あくまで、そういう解釈もありかな、という考えでお読みいただければ幸いです)
近現代の研究者によると、この言葉の「女子」は家事を手伝う下女・女中または妾を指すという解釈があり、「小人」も下働きの下男や使用人とする解釈がある。論語の「女子」という言葉は女性一般を指しているのではなく、男性に対する「小人」と同様に身分の低い女性、または小人物を指しているらしい(宇野哲人、貝塚茂樹、宮崎市定など)。いってみれば「小娘」といったところか。
つまり、現代語に直すと、
メイドさんと使用人は扱いにくい!
ということですね!
『ウィキペディア(Wikipedia)』の「メイド」に掲載のイラスト(著作権フリー)
(かなり違う気もするが細かいことは気にしちゃいけない)
冗談はさておき、このように最近の研究者の間では「唯女子與小人、爲難養也 唯女子と小人とは養い難しと為す」という言葉は本来は女性すべてを蔑視するものではなかったという意見も強まっている
確かに『論語』全体を通読してみると、年少者や部下、民をどのように教育するか、どのように導くかが主題となっている本なので、今述べた「女中(メイド)や下働きの使用人は扱いにくい」という解釈の方が文脈的には正しいのかもしれない。
―嫁さんごめん!老婆对不起!ー
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参考文献・サイト
メイド フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』2009.7.21アクセス
“今日の満文論語―おかえりなさいませ ご主人様―” に対して2件のコメントがあります。
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tomohiroです。杭州ですか。私の知り合いの香港人女性は、父親が浙江省の寧波出身で、彼女も私が母の実家の鹿児島市内に帰省について行くようなことがあるようです。結構彼女の寧波に纏わる話を聞きます。
>Tomohiroさんこんばんは。南方はやっぱり進んでますねえ。大連にはまだメイドカフェはないですねww同人やコスプレのサークルはあるようなんですけど。寧波といえば明清史をやってた人間としては倭寇や天一閣が思い浮かびます。一度行ってみたい場所です。なんでも、日本のマージャン用語も寧波方言に近いとか。